地震が発生したとき、猫を守るために必要なのはフードや水だけではありません。強い揺れに驚いた猫が家具の隙間へ隠れる、玄関から脱走する、キャリーに入らず一緒に避難できないといった事態も考えられます。
さらに、避難所へたどり着いても、猫と飼い主が同じ居住空間で生活できるとは限りません。だからこそ、防災グッズの準備と同時に、迷子対策や避難先の確認、住環境の整理まで行うことが重要です。
東日本大震災、令和6年能登半島地震、令和8年熊本地震で実際に生じたペットの問題も踏まえながら、愛猫を災害から守るための備えを具体的に解説します。
猫の防災グッズは「命・避難・生活・迷子対策」で考える

猫の防災用品は、用途を「命を維持する物」「避難するための物」「避難生活を続ける物」「飼い主とはぐれた場合に備える物」に分けると、必要品を整理しやすくなります。
フードや水だけでなく避難に必要な用品も準備する
食料を十分備蓄していても、猫を安全に自宅から連れ出せなければ同行避難はできません。
フード・飲料水に加えて、キャリー、ケージ、ハーネス、猫砂、簡易トイレなども準備します。環境省も、災害時に備えて水・食料・常備薬だけでなく、キャリーバッグやケージに入ることへ普段から慣らしておくよう案内しています。
「生きるための備蓄」と「安全に移動する道具」をセットで考えることが猫の防災の基本です。
持ち出し用と在宅避難用に分けて備える
猫用品を一つの場所へ大量に保管すると、避難時に持ち運べなくなる可能性があります。
防災リュックには薬、少量のフード、水、猫の健康情報、排泄用品など優先度の高い物を入れます。一方、自宅にはフードや猫砂、水など重量・容量の大きい物を多めに備蓄しましょう。
自宅が安全なら在宅避難になる場合もあるため、「持ち出す備え」と「自宅で生活を続ける備え」の両方が必要です。
療法食・常備薬など代替しにくい物を優先する
一般的なキャットフードなどは支援物資として届く可能性がありますが、特定の療法食や処方薬がすぐ手に入るとは限りません。
環境省の2026年のガイドライン改訂案では、ペット用品を少なくとも5日分、できれば7日分以上準備し、療法食などが必要な場合にはさらに長期間分を備える考え方が示されています。
持病がある猫では薬の名称、用量、動物病院の連絡先も記録し、飼い主以外でも必要なケアを把握できる状態にしておきましょう。
猫の年齢・持病・性格に合わせて必要な物を考える
必要な防災グッズは猫によって異なります。
例えば高齢猫には常備薬や保温用品、子猫には成長段階に合ったフードが必要です。知らない人や動物を強く怖がる猫なら、ケージを覆えるタオルなども役立ちます。
市販の防災セットだけで完結させず、「この猫が普段の生活で欠かせない物は何か」を基準に追加しましょう。
東日本大震災から学ぶ猫の取り残し・迷子への備え

東日本大震災では、津波だけでなく福島第一原子力発電所事故による避難によって、飼い主と離れた多くのペットが発生しました。猫の防災を考えるうえで重要なのは、避難後ではなく「猫と一緒に避難できる状態を平時につくること」です。
震災では多数の猫が飼い主と離れて取り残された
原発事故に伴う避難では、旧警戒区域内に多くのペットが残され、その後長期にわたる保護活動が必要になりました。
猫は恐怖を感じると隠れることがあり、発災直後にすぐ捕まえられるとは限りません。普段からキャリーを取り出せる場所へ置き、猫がどこへ隠れる傾向があるのか把握しておくことが重要です。
福島の旧警戒区域では行政だけでも544頭の猫が保護された
環境省によると、2014年3月31日までに行政が福島県の旧警戒区域から保護した被災ペットは、犬458頭、猫544頭でした。そのうち猫393頭が元の飼い主への返還または新しい飼い主への譲渡につながっています。
この544頭は震災で被災した猫全体ではなく、あくまで行政が旧警戒区域から保護した頭数です。しかし、発災後にこれだけ多くの猫の保護が必要になった事実は、平時の避難準備の重要性を示しています。
猫は正確な飼育頭数が分からず被災・死亡の全体像も把握しにくかった
東日本大震災で亡くなった猫について、「全国で○頭」と正確な数字を示すことはできません。
環境省の被災動物対応記録では、猫について震災前の飼養状況や被災状況の全体像を把握することが難しかったことが示されています。
そのため、確認された一部地域・施設の死亡数を震災全体の死亡頭数として扱うのは適切ではありません。防災情報では、大きな数字だけでなく「何を対象に数えた数字なのか」を確認することも大切です。
震災から1年以上経過してからも多数の猫が保護された
被災猫の問題は発災直後だけでは終わりませんでした。
福島県の旧警戒区域では2012年にも一斉保護活動が行われるなど、震災から1年以上が経過しても保護活動が続きました。飼い主とはぐれた猫を短期間で見つけられるとは限らないことが分かります。
だからこそ迷子札やマイクロチップ、猫の写真など、後から飼い主を確認できる手段を複数準備しておく必要があります。
危険な自宅へ猫を探しに戻らないためにも平時の準備が重要
「猫を置いて逃げられない」と考える飼い主は多いでしょう。しかし、倒壊や火災などの危険がある建物へ戻れば、飼い主自身が被災する可能性があります。
災害発生後に猫を探すことを前提とするのではなく、平時から隠れ場所を把握し、キャリーへ入る習慣をつけ、玄関や窓の脱走対策を行います。
猫の防災グッズをそろえる本当の目的は「物を持っている状態」にすることではありません。発災したその瞬間に、飼い主と愛猫が安全な行動を取れる状態をつくっておくことです。
令和6年能登半島地震から学ぶ猫との避難生活

令和6年能登半島地震では、人とペットが避難した後に直面する課題も明らかになりました。猫を連れて避難所まで行ける準備だけでなく、「その場所で猫と生活を続けられるのか」まで考えておく必要があります。
ペット用屋内飼養スペースがあった避難所は調査対象の15%だった
環境省の令和6年能登半島地震に関する記録集では、調査対象となった避難所のうち、ペット用の屋内飼養スペースが「ある」と回答した避難所は18か所で、全体の15%でした。一方、「ない」は77か所・65%、「分からない」は24か所・20%です。
つまり、猫を連れて避難所へ到着できても、屋内で飼育できる場所が確保されているとは限りません。指定避難所の場所だけでなく、ペットの受け入れ条件まで平時に自治体へ確認することが重要です。
同行避難できても猫と同じ居住空間で過ごせるとは限らない
「同行避難」は、災害時に飼い主がペットを連れて安全な場所まで避難することを指します。避難所の居住スペースで猫と一緒に生活できることを意味する「同伴避難」とは異なります。
猫の飼育場所が別室や屋外などに指定される場合も考えられるため、キャリーやケージを準備しておきましょう。知らない人や動物の気配を怖がる猫なら、目隠しとして使えるタオルなども防災グッズに加えておくと環境変化への対応に役立ちます。
避難所から在宅避難・車中泊などへ移るケースも想定する
能登半島地震では、ペットと同行避難した人のうち、約半数がその後、自宅や車中泊などへ移ったことが環境省の調査で確認されています。他の避難者への気兼ねなども、その背景として挙げられています。
ただし、損壊した自宅での在宅避難には余震による危険があり、車内生活には温度管理など別の問題があります。「猫と一緒にいられるから」という理由だけで避難方法を決めず、人と猫の双方にとって安全かを判断する必要があります。
避難所以外の第二・第三の避難先や一時預かり先を決めておく
指定避難所だけを唯一の選択肢にすると、ペットの受け入れが難しかった場合に行き先を失いかねません。
親族や知人宅、ペットホテルなど、猫を受け入れられる可能性がある場所を複数候補にします。遠方へ預けるケースも想定し、ワクチン接種歴、持病、フードの種類、薬の与え方といった情報もまとめておけば、飼い主以外へ一時的に世話を任せる場合にも役立ちます。
令和8年熊本地震から考える猫の迷子・避難所・物資不足対策

2026年7月に発生した令和8年熊本地震でも、ペットを飼う被災者への支援が必要になりました。発生から日が浅い災害については、確定していない被害情報を断定せず、行政から公表されている情報を基に考えることが重要です。
災害発生後は猫の迷子や避難所での飼育が現実的な問題になる
熊本県は地震発生後の7月30日、被災者を対象としたペット相談窓口を開設しました。相談内容の例として、「ペットが迷子になった」「避難所でのペット飼育に困っている」といった問題が示されています。
完全室内飼育の猫でも、災害時には壊れた窓や開いた玄関から逸走する可能性があります。首輪・迷子札だけに頼らず、マイクロチップや写真など複数の身元確認手段を用意しておくことが重要です。
フード・猫砂・薬など支援物資だけに頼れない用品を備蓄する
同じ相談窓口では、ペットフードなどが手に入らない場合の相談も対象になっています。
災害時の支援物資は、人の生活必需品が優先されることも想定しなければなりません。さらに、普段食べているフード、療法食、特定の猫砂、常備薬などが希望どおり届く保証はありません。
少なくとも数日間は飼い主自身で対応できるよう、自宅備蓄と持ち出し用の防災リュックへ分散して準備しておきましょう。
被災によって猫を飼い続けることが難しくなる場合も想定する
災害では住宅の損壊や長期避難によって、それまでと同じ環境で猫を飼えなくなる可能性があります。熊本県の相談窓口でも「ペットを飼い続けることが難しくなった」という相談が想定されています。
だからこそ、平時から一時預かりを相談できる親族・知人などを考えておくことが大切です。猫の性格や健康状態を記した「飼育情報メモ」も用意しておけば、急に別の人へ世話を任せることになった場合の負担を減らせます。
発生直後の情報と確定した被災頭数を混同しないことも大切
大規模災害の直後には、SNSなどで迷子猫や保護猫に関する多数の情報が流れます。一方、その時点で公表されている動物愛護センターの収容頭数を、そのまま「地震で保護された猫の数」と判断することはできません。
例えば熊本県動物愛護センターでは地震後に多数の猫が収容されていましたが、地震以前から収容されていた猫もいます。
被災頭数や死亡頭数を見るときは、「いつ」「どの地域で」「どの機関が」「何を対象として集計した数字なのか」まで確認することが必要です。災害の教訓を猫の防災へ生かすためにも、不確かな数字を広げず、行政などが確認した情報と推測を区別しましょう。
猫に最低限必要な防災グッズ一覧

猫の防災グッズは、避難直後に必要な物から優先して準備します。種類を増やすことより、「これがなければ健康や安全を維持できない」という用品を確実に持ち出せる状態にすることが重要です。
フード・飲料水・療法食・おやつ
食べ慣れたフードと飲料水は防災用品の基本です。環境省では、ペットの水やフードを少なくとも5日分、できれば7日分以上備えることを推奨しています。
特に療法食は避難先ですぐ入手できるとは限りません。普段使う分を少し多めに購入して古いものから消費するローリングストックなら、賞味期限切れを防ぎながら備蓄できます。食欲が落ちた場合を考え、食べ慣れたおやつも少量準備するとよいでしょう。
常備薬・お薬情報・ワクチンなど健康に関する記録
持病がある猫では常備薬の優先順位が高くなります。薬だけでなく、薬品名、1回の量、投薬回数、病名、かかりつけの動物病院なども紙とスマートフォンの両方へ記録しておきましょう。
ワクチン接種歴などの健康情報もまとめておけば、一時預かりや別の動物病院を利用するときに猫の状態を伝えやすくなります。
キャリー・ケージ・ハーネス・リード
キャリーは猫を自宅から安全に連れ出すための重要な防災グッズです。避難所ではケージが猫の生活スペースになる可能性もあります。
ハーネスとリードも用意しますが、装着したから脱走しないとは限りません。避難先で不用意にキャリーを開けず、移動時は扉や留め具が確実に閉まっていることを毎回確認しましょう。
猫砂・簡易トイレ・排泄袋・ウェットシート
環境が変わると排泄を我慢する猫もいるため、可能なら普段使用している種類の猫砂を準備します。折りたためる簡易トイレなら、防災リュックの容量を抑えられます。
排泄物を処理する袋やウェットシートも用意しておけば、断水した避難先でも衛生管理をしやすくなります。
タオル・洗濯ネット・食器など避難生活に役立つ用品
タオルは保温、キャリーの目隠し、汚れを拭くなど複数の用途があります。洗濯ネットは猫を安全に扱う際の補助用品として利用できる場合があります。
食器は軽量で割れにくい物を選びます。折りたたみ式なら、水用とフード用を分けても収納スペースを取りにくくなります。
迷子札・マイクロチップ・猫と飼い主の写真
災害時の迷子対策では、身元を確認できる方法を一つに限定しないことが重要です。
首輪には連絡先を書いた迷子札を付け、マイクロチップを装着している場合は登録情報が現在の電話番号や住所になっているか確認します。
猫だけの写真に加えて飼い主と一緒に写った写真も保存しておけば、保護された猫の飼い主であることを説明するときにも役立ちます。
地震で猫が隠れて出てこない場合に備えよう

猫の防災では「必要な物を準備する」だけでは十分ではありません。地震の恐怖で猫が隠れ、避難するときに見つけられない可能性まで考えて住環境を整える必要があります。
恐怖を感じた猫は暗く狭い場所へ隠れることがある
大きな揺れや家具が倒れる音は猫にとって強い刺激です。驚いた猫がベッドの下や家具の奥などへ逃げ込むことがあります。
普段は呼べば来る猫でも、災害時に同じ行動をするとは限りません。「名前を呼べば捕まえられる」という前提だけで避難計画を立てないことが大切です。
平時から猫が隠れやすい場所を把握しておく
掃除機や雷などを怖がったとき、愛猫が最初にどこへ逃げるのか観察しておきましょう。
家族全員が「この猫は怖がると押し入れの下段へ入る」など具体的な場所を把握していれば、地震発生後に家中を探し回る時間を減らせます。
家具の隙間など救出が難しくなる場所への侵入を防ぐ
大型家具と壁の狭い隙間など、普段は猫が出入りできても地震後に家具が動けば閉じ込められる場所があります。
危険な隙間には侵入防止策を施し、代わりに猫が安心して隠れられる安全な場所を作ります。防災では「猫を隠れさせない」のではなく、「隠れるなら救出できる場所へ」という発想が重要です。
キャリーを普段から安心して入れる場所にしておく
動物病院へ行くときだけキャリーを出していると、猫が「捕まえられる物」と警戒する可能性があります。
普段から室内へ置き、扉を開けた状態で寝床として使えるようにする方法があります。毛布などを入れて安心できる場所にしておけば、災害時に猫をキャリーへ入れる負担を減らせる可能性があります。
避難時に猫が見つからないからと危険な屋内を探し続けない
猫が見つからない場合でも、倒壊や火災、津波など命に関わる危険が迫っている状況で捜索を続けるのは危険です。
災害時には飼い主自身の安全確保も欠かせません。そのような選択を迫られる可能性を少しでも下げるため、日頃から危険な隠れ場所を減らし、キャリーへの誘導方法や家族の役割まで決めておくことが重要です。
地震で猫が脱走・迷子になることを防ぐ対策

猫は普段外へ出ない場合でも、地震によるパニックや建物の損傷をきっかけに逸走する可能性があります。災害時は捜索も難しくなるため、「逃げた後に探す」だけでなく「逃げにくい環境」と「保護された後に飼い主へ戻れる仕組み」を準備しておきましょう。
完全室内飼育でも災害時の逸走を想定する
完全室内飼育だから迷子対策は不要、とは限りません。地震で窓や網戸が外れたり、避難する家族が玄関を開けた瞬間に猫が飛び出したりすることがあります。
特に強い恐怖を感じている猫は普段とは異なる行動を取る可能性があります。防災では「いつもの性格」ではなく、「パニックになった場合」を基準に考えましょう。
玄関・窓・網戸から飛び出せない環境を整える
玄関には脱走防止柵を設ける、網戸にはロックを付けるなど、出口を一重にしない対策が有効です。
ただし、脱走防止用品そのものが地震で転倒して避難経路を塞いでは意味がありません。固定方法や設置位置まで確認し、人が速やかに避難できる状態も維持します。
首輪・迷子札・マイクロチップで身元確認手段を複数持つ
迷子札は保護した人がその場で連絡先を確認しやすい一方、災害時に首輪ごと外れる可能性があります。そこで、体内に装着するマイクロチップと組み合わせて身元確認手段を増やしておきます。
マイクロチップは装着するだけでなく、飼い主情報が正しく登録されていることが重要です。引越しや電話番号変更の後は登録内容も確認しましょう。
顔・全身・模様が分かる最新の写真を保存しておく
迷子猫を探す際は、毛色だけでは個体を判別しにくい場合があります。
顔、全身、背中、尻尾など特徴が分かる写真を複数撮影しておきます。成長や加齢で見た目が変化するため、少なくとも防災用品を点検するときに写真も更新すると効率的です。
スマートフォンだけでなく、防災リュックにも印刷した写真を入れておけば、停電や通信障害時にも使用できます。
迷子になったら帰宅を待つだけでなく早い段階から捜索する
猫が逸走した場合、「そのうち帰ってくる」と待つだけにしないことが大切です。環境省も、迷子になった場合はすぐに探し始めるよう案内しています。
自宅周辺の狭く暗い場所を確認するとともに、自治体の動物愛護センターや保健所などへ連絡します。SNSだけに頼らず、公的な保護情報も確認しましょう。
猫と避難するために平時から決めておきたいこと

災害発生後に避難方法を一から考えていると、判断が遅れる可能性があります。避難先、猫の移動方法、家族が不在の場合まで具体的に想定しておきましょう。
同行避難と同伴避難の違いを理解する
同行避難とは、飼い主が猫を連れて安全な場所まで避難することです。しかし、避難所で飼い主と猫が同じ部屋で生活できるとは限りません。
猫の飼養場所が人の居住スペースとは別に設けられる場合もあります。「同行避難できる=避難後もずっと猫のそばにいられる」と思い込まず、避難所ごとのルールを確認しておきます。
指定避難所のペット受け入れ条件を確認する
最寄りの指定避難所について、ペット同行避難の可否だけでなく、猫をどこで飼育するのか、ケージが必要なのかなどを自治体の情報から確認します。
災害によって予定していた避難所が使用できない場合もあるため、少なくとも複数の避難先を確認しておくと選択肢を確保できます。
親族・知人・ペットホテルなど一時預かり先を候補にする
避難所で長期間の猫の飼育が難しい場合、一時的に別の場所へ預ける選択肢もあります。
親族や知人には災害が起きる前に相談し、「猫を連れて避難する可能性がある」と共有しておきましょう。ペットホテルなどは災害時に通常営業できない可能性もあるため、一つの候補だけに依存しないことがポイントです。
キャリーへ入れる練習と移動に慣らす練習を続ける
キャリーを用意していても、地震発生後に猫が激しく抵抗して入らなければ迅速な避難が難しくなります。
日頃からキャリーを室内に置き、自分から入れる環境を作ります。短時間の移動も経験させ、「キャリー=動物病院へ連れて行かれるときだけ使う物」にしない工夫も役立ちます。
家族が不在のとき誰が猫を避難させるか決めておく
地震は飼い主が自宅にいるときに発生するとは限りません。
家族の勤務中や外出中に災害が起きる可能性も考え、誰が猫の安全を確認するのかを話し合っておきます。多頭飼いなら「誰がどの猫を担当するか」まで決めておくと、避難時の確認漏れを防ぎやすくなります。
防災リュックやキャリーの保管場所も家族全員で共有し、特定の人しか準備できない状態を避けましょう。
猫用防災リュックと自宅備蓄を準備するポイント

猫の防災用品は、すべてをリュックへ詰め込むのではなく、避難直後に持ち出す物と自宅に備蓄する物を分けることが重要です。定期的に中身を確認し、「必要なときに使える備え」を維持しましょう。
持ち出す物には優先順位をつけて重量を抑える
避難時は猫の入ったキャリーも運ばなければならないため、防災リュックが重すぎると移動の妨げになります。
常備薬、少量のフードと水、簡易トイレ、猫砂、健康情報など、避難直後に必要な物を優先します。大量の水や猫砂などは自宅備蓄へ分け、持ち出し用品の重量を抑えましょう。
フード・水・猫砂は少なくとも5日分を意識して備蓄する
環境省では、ペット用の水やフードなどを少なくとも5日分、できれば7日分以上備えることを推奨しています。
猫砂などの消耗品も同様に、物流が止まった場合を想定して余裕を持たせます。療法食や薬など入手先が限られる物は、さらに長期間を想定して準備すると安心です。
日常用品を多めに持つローリングストックを活用する
防災専用品だけを長期間保管すると、食品の賞味期限切れなどが起こりやすくなります。
例えば普段1袋ずつ購入するフードを2袋程度保管し、古い方から使用して買い足す方法なら、日常生活の延長で備蓄できます。猫砂やウェットシートなどにも応用できます。
半年に一度を目安に期限・薬・猫の状態を確認する
防災グッズは一度準備して終わりではありません。半年に一度程度を目安に、フードの賞味期限、薬、電池、迷子札の連絡先などを点検しましょう。
猫の年齢や健康状態も変化します。子猫から成猫、高齢猫へとライフステージが変われば、必要なフードやケア用品も更新します。
猫の防災と一緒に住環境も見直そう

防災グッズをそろえていても、地震で家具や不用品が散乱してキャリーまでたどり着けなければ迅速な避難が難しくなります。猫を守る防災では、家の中そのものを安全にすることも重要です。
家具の転倒・落下から猫が普段過ごす場所を守る
猫がよく寝る場所やケージの周囲に、転倒する可能性のある家具がないか確認します。
大型家具は適切な方法で固定し、高い場所には地震で落下すると危険な物を置かないようにします。人間より低い位置で過ごすことの多い猫だからこそ、落下物への対策が欠かせません。
玄関・廊下から不用品を減らして避難経路を確保する
玄関や廊下に段ボール、使わない家具などが置かれていると、地震で倒れたり散乱したりして避難経路を塞ぐ可能性があります。
猫をキャリーへ入れた状態では普段より移動しにくくなるため、人が一人通れるだけではなく、荷物を持った状態でも安全に移動できる通路を確保しましょう。
物を減らして地震後も猫を見つけやすい室内にする
物が多い室内には猫が入り込める隙間も増えます。地震で収納物が崩れると、猫がどこにいるのか確認しにくくなることもあります。
使っていない段ボールや家具などを整理し、危険な隠れ場所を減らしておけば、災害時に猫の所在を確認しやすくなります。
キャリーと防災用品をすぐ取り出せる場所へ置く
キャリーを押し入れの奥などへ収納すると、緊急時に取り出すまで時間がかかります。
普段から猫が使える場所へ置く方法なら、キャリーへの警戒を和らげながら緊急時にもすぐ使用できます。防災リュックも避難経路上の取り出しやすい場所へ保管しましょう。
使わなくなった猫用品を整理して備蓄スペースを確保する
小さくなったケージ、使わなくなったトイレ、古い爪とぎなどを保管し続けると、本当に必要な備蓄品を置く場所が不足します。
不要な物を整理して、フード、水、猫砂などを保管できるスペースを確保しましょう。片付けは単に部屋をきれいにする作業ではなく、災害時に必要な物へすぐアクセスできる環境を作る防災対策にもなります。
猫の防災グッズに関するよくある質問

猫の防災では、用品の準備だけでなく、実際に災害が起きた場面を想定しておくことが重要です。特に迷いやすいポイントを確認しておきましょう。
猫のフードと水は何日分備蓄すればよいですか?
少なくとも5日分、できれば7日分以上を目安に備えましょう。療法食など入手先が限られる物は、さらに余裕を持たせます。
一度に大量購入するより、普段のフードを多めに保管して古い物から消費するローリングストックを取り入れると、賞味期限を管理しやすくなります。
猫を連れて避難所へ行けば必ず一緒に過ごせますか?
必ずしも同じ空間で過ごせるとは限りません。
同行避難が認められていても、人の居住スペースとは別の場所で猫を飼育する場合があります。避難所によって条件が異なるため、自治体が公表している情報を事前に確認しましょう。
猫が地震で隠れて出てこないときはどうすればよいですか?
まず身の安全を確保したうえで、普段猫が隠れる場所を確認します。無理に追い回すと、さらに奥へ逃げ込む可能性があります。
ただし、倒壊・火災・津波などの危険が迫っている場合は、猫を探すために避難を遅らせたり、危険な建物へ戻ったりしないことも重要です。
完全室内飼育の猫にも迷子札やマイクロチップは必要ですか?
災害対策として準備する価値があります。
完全室内飼育でも、地震で窓や網戸が破損したり、避難時に玄関から飛び出したりする可能性があります。迷子札とマイクロチップなど、複数の身元確認方法を組み合わせておくと安心です。
猫が地震で逃げた場合はどこから探せばよいですか?
安全を確認したうえで、自宅周辺の物陰や建物の隙間などから探します。同時に自治体の動物愛護センターや保健所などへ連絡し、保護情報を確認しましょう。
写真を準備しておけば、毛色だけでは説明しにくい顔の特徴や模様も正確に伝えられます。
多頭飼いの場合は猫ごとにキャリーを用意すべきですか?
原則として、それぞれの猫を安全に収容できる数を準備しておくとよいでしょう。
災害時は猫同士が興奮することもあり、一つのキャリーへ複数頭を入れると安全に移動できない場合があります。猫の体格に合ったキャリーを用意し、「何匹避難できたか」を家族で確認できる仕組みも決めておきましょう。
まとめ│震災の教訓を生かして愛猫を守る防災対策を始めよう

猫の防災は、フードや水を買いそろえるだけでは完成しません。
東日本大震災では福島県の旧警戒区域から行政だけでも544頭の猫が保護され、令和6年能登半島地震では調査対象となった避難所のうちペット用屋内飼養スペースがあったのは15%でした。令和8年熊本地震でも、迷子や避難所での飼育、ペット用品の不足などに対応する相談窓口が設けられています。
こうした実例から分かるのは、「猫を連れて避難できるか」「避難後も飼育を続けられるか」「はぐれても再会できるか」まで備える必要があるということです。
防災リュックと備蓄を準備し、キャリーに慣らし、迷子対策を行い、避難先を確認する。そして地震が起きても猫を発見し、安全に連れ出しやすい住環境を整えておきましょう。
猫の防災に備えた住まいの片付けなら片付け110番へご相談ください

猫の防災を考えて室内を見直すと、使わなくなった家具やケージ、古い猫用品、段ボールなど、さまざまな不用品が見つかることがあります。
不用品が玄関や廊下を塞いでいれば避難の妨げになり、物が多すぎる部屋では地震後に猫を探したり、防災用品を取り出したりすることも難しくなります。
自分だけでは運び出せない家具や大量の不用品があり、防災のための片付けが進まない場合は、片付け110番へご相談ください!片付けの他に、防災グッズの買い物代行のご相談も可能です!
避難経路や備蓄スペースを確保し、防災グッズをしっかり準備し、人と愛猫の双方が災害時に行動しやすい住環境を平時から整えておきましょう。


