- 畳が傷んできた…。
- 襖に穴が開いてしまい張り替えたい…。
- 障子が日焼けてそろそろ新しくしたいけど自分でできるかな…。
- 張り替えにはどれくらいの費用がかかるだろう…。
畳・襖・障子の張り替えにお悩みではありませんか?
頻繁に張り替えるものではありませんから、よくわからない…と悩まれる方も多いですよね。
今回は、畳・襖・障子の張り替え時期やその方法、業者に頼む場合の費用相場や業者選びのポイント、そして張り替えた後に長持ちさせる手入れのコツまでを徹底解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
1 畳・襖・障子の最適な交換時期
畳・襖・障子にはそれぞれ最適な交換の時期やタイミングがありますので知っておきましょう。
1-1 畳張り替えの時期
畳の張り替えは、張り替えの方法ごとに最適な時期があります。
- 畳表をはがしてその裏側の面を再利用する「裏返し」…新しい畳を使用しだしてから2年~5年のタイミング
- 畳表と畳縁を替え表面を新しくする「表替え」…新しい畳を使用しだしてから4年~5年、もしくは裏返しをしてから5年のタイミング
- 全てを交換して新しくする「新調」…新しい畳を使用しだしてから10年のタイミング
- 畳表(たたみおもて)=畳の表面部分で、い草を織り込んだござの部分
- 畳床(たたみどこ)=畳の中心の芯の部分で、畳表を縫い付ける部分
- 畳縁(たたみべり)=畳のへり・角を補強するためにつけられた布部分
1-1-1 畳を変えた方がいいサイン
年数以外でも、畳は以下の症状がみられる場合、張り替えた方がいいといわれています。
- 踏むとやわらかい
- 湿気ている、カビがはえている
- カビ臭い
1-2 襖張り替えの時期
- 襖の枠が歪んでしまっているとき
- 襖紙が茶色に日焼けしてしまったとき
- 新しく張り替えてから10年近い時
- 破れてしまったとき
- 変色が見られるとき
1-3 障子張り替えの時期
- 新しく張り替えてから3年~5年のタイミング
- 穴が開いたり変色してしまったとき
- カビが生えているとき
湿気の多い日は、湿気を吸って襖紙や障子紙がよく伸びてくれ、乾くときれいにハリが出るので、仕上がりがきれいになります。
張り替えの日にちは湿気の多い日、雨の日や雨の降った次の日がおすすめといわれています。
畳・襖・障子には張り替えのおすすめの時期はあります。
しかしながら、破損させてしまったり、劣化がひどい時には時期に関係なく早めに張り替えることが大切です。
張り替えが遅くなり劣化や破損した状態で放置してしまうと、張り替えで済んだものが、取替が必要になることもありますので注意しましょう。
2 畳の張り替え方法
畳の張り替え方法は、「裏返し」「表替え」「新調」で方法が異なります。
2-1 畳表を裏返しで替える
畳表をはがしてその裏側の面を再利用する「裏返し」をする際は、次の手順です。
- 畳床から畳表を剥がす
- 再利用できるきれいな面を表にする
- 畳床に畳表を固定する
- 糸と縁で固定する
通常、畳を裏返せば劣化していないきれいな面を使用できるはずですが、裏返してみても、シミがあったり裏面も畳が劣化している可能性もあります。
畳の劣化具合は裏返してみなければわからない点に注意が必要です。
2-2 表替えで畳表と畳縁を替える
畳表と畳縁を替え表面を新しくする「表替え」をする際は、次の手順です。
- 畳表を剥がす
- 畳の上下に縫われている糸を切る
- 畳床をそらせながら新しい畳を引っ張りながら張る
- 金具を打ち込む
- 縁を打ち込む
2-3 畳を完全に新調する
全てを交換して新しくする「新調」をする際は、必ずプロに依頼する必要があり、プロの手順はおおよそ次の通りです。
- 畳を引き上げた後、寸取をして畳のサイズを計る
- 畳床を裁断したあと畳表を畳床に張る
- 畳縁を縫い付ける
- 畳を敷きこむ
畳の張り替え作業は、知識や経験が必要で、繊細な作業が求められます。
自力でのDIY作業では到底作業しきれませんので、必ずプロの力を借りるようにしましょう。
3 襖の張り替え方法
襖の張り替え方法を、本襖の張り替えの場合で解説します。
襖には、種類が様々あります。有名どころでは、本襖・板襖・発泡スチロール襖・段ボール襖などがあります。
- 本襖…表面を触ると襖骨(ふすまほね)の木が手で感じられます。
- 板襖…表面をたたくと木の音がし、重たいつくりになっています。
- 発泡スチロール襖・段ボール襖…表面をたたくと鈍い音がし、非常に軽いつくりになっています。
本襖や板襖はのりによる張り替えができますが、強度の弱い発泡スチロール襖・段ボール襖はのりによる張り替えはできませんので、両面テープでの張り替え作業が必要になります。
両面テープでの張り替えはコツや技術力が必要で、短時間で綺麗に仕上がるのりでの張り替えよりも難しい作業です。
襖の種類がわからないときや、のりによる張り替えに対応していない襖の場合はプロの力を借りることをお勧めします。
3-1 道具を準備
次のものを用意しましょう。
- はさみ
- カッター
- ハンマー
- 金づち
- のりハケ2本
- 襖のりを入れる容器2つ
- 養生シート
- 釘締め
- マスキングテープ
- ふすま・障子のり
- 本や雑誌などの重し
- 引手バール・フスマバール
- 当て木の代わりになるもの
- 襖補修紙
- 襖紙
- 接着剤
3-2 引手・枠を取り外す
- 襖と引手の間にバールを差し込み、てこの原理でゆっくり浮かせながら引手を取り外す
- 襖を横にした状態で立てらかせ、当て木をして横側の木枠を底からハンマーで叩く
- 左右の木枠を取り外す※釘打ち式の枠の場合はバールでこじ開けて取り外す
- 上下の木枠と襖の間にバールを何か所か打ち込み隙間を作る
- 釘が固定用に刺さっているのでぐりぐりと動かしながら上下の木枠を外す
3-3 のりを2種類用意する
- 襖紙の全体に塗るための薄いのりと、縁部分に塗るための濃いのりを用意します
- トレーに襖のりを入れ、のり:水=2:1の割合で溶いて濃いのりを作ります
- トレーに襖のりを入れ、のり:水=1:4の割合で溶いて薄いのりを作ります
3-4 補修をする
- 穴が開いている部分に補修紙を張ります
- 補修紙は水で湿らせます
- 補修紙の裏面の周囲に濃いのりを塗り破れた箇所に貼り付け乾かします
3-5 襖紙を張って乾燥させる
- 襖紙をまっすぐに伸ばす
- 襖の厚み分余計にずらして襖の上に置き、本などで重しをして固定します
- 不要な部分をカッターで切り取ります
- 襖紙の裏面を上にして全体に薄いのりを塗ります
- 縁4辺に縁取るように濃いのりを塗ります
- のりをつけた襖紙を裏返し、適切な位置に置きます
- 手のひらで優しくなでながら空気を押し出し角を折り込み不要箇所をハサミでカットします
- 乾燥する前に引手の部分にカッターで切り込みを入れておきます
- 乾燥させます
襖紙を乾燥させる際に、エアコンなどの風を利用してしまうと、乾燥スピードが早すぎることで、襖が反ってしまう原因となります。
エアコンは使用しないように注意しましょう。
3-5-1 アイロンタイプの襖紙の場合
- 引手を取り外します
- 枠にマスキングテープを張ってのりが付くのを防ぎます
- 襖紙を襖に置き、アイロンで接着させていきます
- 余計な部分をカッターで切り取ります
- 引手部分をカッターで切り込みを入れます
- 引手を取り付け、釘を打ち込みます
- マスキングテープを剥がして完成です
3-6 枠と引手を取り付ける
- もともと釘が刺さっていた場所に上下の枠を当て、ハンマーで叩いて上下の木枠をはめこんでいきます
- 下の木枠の釘は頭が出ているとスムーズに開閉できなくなるので、釘締めで頭を打ち込んでおきます
- 左右の木枠もネジの頭と穴が合うようにかぶせてハンマーで上から叩いてはめ込みます
- 引手の部分にさらにカッターで切り込みを入れ、接着剤を付けてはめ込み引手をつけます
- 引手が釘で固定されているタイプの場合はカッターで切り込みを入れ引手をはめ込んだ後に、釘穴に釘を差し込み金づちで打ち込んで完成させます
4 障子の張り替え方法
障子の張り替えは、畳・襖とは違い素人でも手順とコツをつかめば綺麗に仕上げることが比較的可能な作業です。
4-1 道具を準備
次のものを準備しましょう。
- 障子紙
- 障子のり
- カッター
- はさみ
- 霧吹き
- 雑巾
- 定規(長めのタイプ)
4-2 古い障子を剥がす
- 霧吹きで湿らせ、古い障子を剥がします
- 木枠に張り付いたままの障子紙は雑巾でこすってきれいに取り除きます
4-3 障子紙を仮止めして貼り付ける位置を確認する
- 障子の縁に、障子紙に付属の仮止めテープで障子紙を仮止めします
- 障子紙を広げて全体の位置のバランスを整えます
4-4 のり(両面テープ)を貼る
- 仮止めはしたままで、障子の木枠にのりもしくは両面テープをつけます
4-5 障子を張る
- のりをつけた木枠の上を転がすように障子紙を貼り付けます
4-6 余分な障子紙を切り乾燥させる
- 端まで障子紙を張ったら、不要な紙をハサミでカットしていきます
- 最後に木枠に沿って定規を這わせ、余分な障子紙をカッターで綺麗に切り取ります
- のりを自然乾燥させたら完成です
5 張り替えは自力でせずプロに依頼しよう
畳・襖・障子の張り替えは、無理して自力でせず、プロに依頼することをおすすめします。
畳の張り替えは専門知識が必要になり、素人では失敗したりうまくいかなかったり、家を傷つけたりしてしまう恐れがあります。
襖の張り替えは一見素人でもできそうですが、道具をそろえるのも大変ですし、1つ作業をミスするだけで、張り替えだけで済むはずが、襖自体を壊してしまい、取替が必要になることにもなりかねません。
障子の張り替えは素人でもできますが、のりで障子紙をつけていく作業は、紙が曲がらないようにシワにならないように綺麗に張るのは意外と難しく、時間をかけてやったのに仕上がりがいまいち…とやり直しが必要になる可能性があります。
プロであれば、短時間で綺麗に仕上げてくれますし、養生まで徹底してくれますので、無駄な手間や時間をかけることなく確実に張り替えを行ってもらえてメリットは非常に大きいです。
6 張り替えにかかる相場費用
畳・襖・障子の張り替えを業者に依頼した際にかかる相場費用をそれぞれご紹介しますので、参考になさってください。
6-1 畳(裏返し/表替え/新調)
裏返し | 3,618円(税込3,979円)/1畳あたり |
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表替え | 7,033円(税込7,736円)/1畳あたり |
新調 | 23,333円(税込25,666円)/1畳あたり |
※畳の種類やグレードによっても料金は変動します。
6-2 襖
襖張り替え1枚あたり | 2,781円(税込3,059円) |
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※襖紙のグレードによっても料金は変動します。
6-3 障子
障子の張り替え1枚あたり | 2,062円(税込2,268円) |
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※障子紙のグレードによっても料金は変動します。
7 業者選びのポイント
畳・襖・障子張り替えを業者に依頼する場合は、次の5つのポイントを押さえて、優良な業者に依頼するようにしましょう。
7-1 相見積もりを取る
相見積もりを取ることで、ご自宅の張り替え作業にかかる本当の相場費用が明確になります。また、相見積もりをすることで価格交渉ができたり、相場の見積もりの中でも条件にあう安い業者に依頼できるようになります。相見積もりを2~3社取りましょう。
7-2 相場費用の業者を利用する
相場から大きく料金体系が異ならない業者を利用しましょう。安過ぎる業者は後から高額請求してくる可能性もあり危険です。
7-3 賠償責任保険加入済みか確認
張り替え作業は室内で実際に畳や襖・障子に触れての作業になります。万が一作業ミスが発生し、破損させてしまう事態になっても、保険で対応してもらえるように、賠償責任保険加入済の業者を利用するように注意しましょう。
7-4 実績が豊富にあるかチェック
ホームページなどで作業実績が豊富にあるかを確認しましょう。張り替え作業は、作業員の経験や技術力が重要になってきます。実績がたくさんあれば、高い対応力があるので安心することができます。
7-5 廃棄までしてくれる業者を利用する
畳・襖・障子の張り替え作業で出たごみの処分まで対応してくれる業者を利用しましょう。中には便利屋作業しかできないので廃棄物はお客さんで処理してくださいといわれるケースもあるようです。せっかく業者を利用するのに、廃棄物の処理まで一括して依頼できないのでは利便性が低いです。廃棄まで一貫して引き受けてくれる業者に依頼しましょう。
8 張り替えた後に押さえたい!長持ちのコツ
畳・襖・障子の張り替えをしたら、少しでも長く良い状態を維持できるように、手入れをしましょう。長持ちのコツについてご紹介します。
8-1 畳
畳は基本、「畳の目に沿って」お掃除します。
雑巾は乾拭きをし、掃除機がけでしっかりホコリも取り除くようにしましょう。
また、畳はい草を使用しているため、湿気やすくなりがちです。しっかり換気し、可能であれば除湿機の力も借りながら、湿気から畳を守りましょう。
8-2 襖
襖は木と紙で構成されているので、湿気を吸収してカビが発生しやすくなっています。
こまめに換気をして、湿気やカビの発生を防ぎましょう。
8-3 障子
障子のお手入れは慎重に行う必要があります。破損させてしまわないように、ポリエステル素材のはたきなどを用いて、週に1回はホコリを取り除くようにしましょう。
また、引手の部分は手垢汚れが付きやすく汚れやすいです。洗剤を薄めて雑巾に染ませ、優しく拭き取ったあとに、乾拭きをしましょう。
まとめ
畳・襖・障子の張り替えにはそれぞれ最適な時期があります。
破損させてしまったり劣化がひどい時には時期に関係なく早めに張り替えることが大切です。
張り替える方法・手順を押さえれば、襖・障子までなら自力でも対応可能ですが、綺麗な仕上がりを求めるならプロに任せるのが一番です。
業者を利用する際は、相場費用の業者に依頼するようにしましょう。
張り替えた後のお手入れで、どれだけ長持ちさせられるかが変わってきますので、プロに張り替えてもらったあとはしっかりお手入れしましょう。
本記事が畳・襖・障子の張り替えに悩むあなたの役に立てば幸いです。