大きな地震が起きたとき、愛犬を守るために何を持って避難すればよいでしょうか。
犬の防災では、フードや水を備蓄するだけでは十分とはいえません。強い揺れに驚いて逃げ出す、家具の陰に隠れて出てこない、飼い主とはぐれる、避難所まで行ったものの犬と同じ空間で生活できないなど、さまざまな状況を想定する必要があります。
実際の震災でも、多くの犬と飼い主が離ればなれになる事態が発生しました。だからこそ、「何を買うか」だけでなく「どう一緒に逃げるか」「離れたらどう捜すか」まで準備することが重要です。
この記事では、犬に必要な防災グッズをはじめ、東日本大震災、令和6年能登半島地震、令和8年熊本地震から考えたい避難対策、迷子・逸走への備え、避難所生活、費用の目安まで詳しく解説します。
犬の防災グッズは「避難・生活・迷子対策」の3つで考える

犬の防災用品を準備するときは、「避難するための物」「避難後に生活するための物」「飼い主とはぐれたときの物」の3種類に分けると不足を発見しやすくなります。
フードや水だけでなく避難に必要な道具も準備する
フードや飲料水を備蓄していても、犬を安全に連れ出せなければ十分な防災対策とはいえません。
首輪、ハーネス、リード、キャリーやクレートなど、避難そのものに必要な用品も準備します。普段の散歩用リードが破損する可能性も考え、予備を用意しておくと安心です。
持ち出し用と自宅備蓄用を分けてそろえる
7日分のフードや水、ペットシーツなどをすべて持って避難しようとすると、防災バッグが重くなります。
そこで、避難時にすぐ必要になる物を持ち出し用へ入れ、残りを自宅備蓄に分けておきます。在宅避難になった場合にも備蓄を活用できるため、「全部持ち歩く」前提にしないことがポイントです。
療法食・常備薬など代替しにくい物を優先する
災害時には、普段購入している療法食や処方薬がすぐ手に入るとは限りません。
持病がある犬なら、薬の名称、用量、投薬方法、かかりつけの動物病院などを記録しておきます。療法食についても、賞味期限を管理しながら余裕を持って備蓄しましょう。
犬の年齢・体格・持病に合わせて中身を変える
同じ犬でも必要な防災グッズは異なります。小型犬ならキャリーバッグで移動できても、大型犬では別の避難方法が必要になるでしょう。
高齢犬なら介護用品、子犬なら成長に応じたフードなども必要です。「犬用防災セット」をそのまま購入して終わりにせず、自分の愛犬に必要な物へ入れ替えることが大切です。
東日本大震災から学ぶ犬の取り残し・逸走への備え

東日本大震災では、津波や建物被害だけでなく、原子力発電所事故に伴う避難によって、多くの飼い主と犬が離ればなれになりました。
この経験から学ぶべきなのは、「犬と一緒に避難できない事態も起こり得る」ということです。迷子札などの用品だけでなく、逸走や取り残しそのものを防ぐ準備が求められます。
震災では飼い主と離れた犬や取り残された犬が多数発生した
災害は飼い主が自宅にいるときに発生するとは限りません。仕事や買い物中なら、犬だけが自宅にいる可能性があります。
東日本大震災でも、緊急避難などによってペットを自宅へ残さざるを得ないケースが生じました。こうした状況を踏まえ、家族の誰が犬を連れ出すのか、家族全員が不在ならどうするのかまで考えておく必要があります。
福島の警戒区域では数百頭規模の犬が保護された
福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域では、住民の一時立入りに連動した2011年5月10日から8月26日までの活動だけでも、犬300頭が保護されています。
さらに別の期間・活動でも犬が保護されました。ただし、活動主体や期間が異なる数字を単純に足して「被災した犬の総数」と考えることはできません。また、東日本大震災で亡くなった犬の全国総数についても正確な統計は確認されていません。
重要なのは、実際に数百頭規模の犬が保護を必要とする状況が発生した事実です。
地震や津波の恐怖で犬が逃げ出すことを想定する
普段はおとなしい犬でも、大きな揺れ、家具の転倒音、サイレン、余震などに驚けば、いつもとは違う行動を取る可能性があります。
玄関を開けた瞬間に飛び出す、散歩中にリードを強く引くといった状況も想定し、迷子札、鑑札、マイクロチップなど複数の身元確認手段を準備しておきましょう。
犬を助けるため危険な自宅へ戻らないことも重要
犬が自宅に残っていると分かれば、すぐ助けに戻りたいと思うのは自然なことです。しかし、津波、火災、家屋倒壊などの危険が残る場所へ戻れば、飼い主自身が被災する可能性があります。
犬を守る防災では「災害が起きてから救出する」だけでなく、安全に一緒に避難できる準備を平時に整えることが重要です。
平時から犬が怖がったときに隠れる場所を把握しておく
恐怖を感じた犬が、ベッドの下や家具の隙間などへ隠れることがあります。大地震の直後に初めて探すのではなく、普段から愛犬が怖がったときにどこへ行くか観察しておきましょう。
同時に、その周辺へ家具が倒れたり物が落下したりしないか確認します。犬が安心して入れるクレートを日常的に使っておけば、避難時の移動にもつなげやすくなります。
令和6年能登半島地震から学ぶ犬との避難生活

令和6年能登半島地震では、犬などのペットを連れて避難する飼い主がいる一方、避難所での受け入れや飼育場所、一時預かりなどが課題となりました。
犬の防災では「避難所までたどり着けば安心」と考えるのではなく、その後どこで愛犬と生活するかまで想定しておく必要があります。
避難所へ犬を連れて行っても同じ空間で過ごせるとは限らない
犬を連れて避難所へ行けても、飼い主と同じ居住スペースで過ごせるとは限りません。
避難所には犬が苦手な人や動物アレルギーのある人もいます。犬専用の飼育場所が設けられるケースもあるため、ケージやクレートに入って過ごせるよう普段から慣らしておくことが重要です。
同行避難と同伴避難の違いを理解しておく
「同行避難」とは、災害時に飼い主がペットを連れて安全な場所まで避難することです。避難後も犬と同じ空間で生活できる「同伴避難」と同じ意味ではありません。
「同行避難可能だから愛犬と同室で過ごせる」と思い込まず、地域の避難所がどのような受け入れ方法を予定しているのか平時に確認しておきましょう。
避難所に入れず車中泊や在宅避難を選ぶ場合も想定する
能登半島地震では、ペットと一緒に車中泊する飼い主なども確認されました。
避難所で犬と生活することが難しい場合に備え、第二の選択肢を考えておくことが大切です。ただし、損壊した住宅での在宅避難や、高温・低温環境での車中泊には別の危険があります。犬と一緒にいられることだけで避難先を決めず、安全性を優先しましょう。
フード・水・薬・ペットシーツは飼い主側で備蓄する
災害直後は、人への支援物資が優先され、犬が普段食べているフードや療法食などを入手できない可能性があります。
フード、飲料水、常備薬、ペットシーツ、排泄袋など、愛犬の生活に欠かせない物は飼い主自身で備蓄します。特定の療法食しか食べられない犬では、一般的なペットフードで代用できないことも考慮しましょう。
一時預かりや第二避難先を事前に考えておく
避難所で犬を飼育できない場合や、飼い主自身が入院する場合など、災害後に愛犬と一緒に生活できなくなる可能性もあります。
遠方の親族や知人など、愛犬を一時的に預かってもらえる候補を平時から考えておきましょう。一つの避難先だけに頼らないことが、犬の防災では重要です。
令和8年熊本地震から考える犬の迷子・避難所対策

令和8年熊本地震でも、ペット同行避難が可能な避難所の情報提供、一時預かり、迷い犬・迷い猫の保護情報など、ペットを守るための対応が行われています。
こうした事例から分かるのは、犬との防災には「避難」と同時に「はぐれた場合の備え」が必要だということです。
震災後には迷い犬・迷い猫を探す仕組みが必要になる
熊本県では震災後、被災した迷い犬・迷い猫について、飼い主が保護情報を確認できる仕組みが設けられました。
地震に驚いた犬が逸走すると、普段の散歩範囲を越えて移動する可能性があります。災害時にどの行政機関や動物愛護関係機関へ連絡するのか、平時に確認しておくと捜索を始めやすくなります。
同行避難できる避難所でも受け入れ条件を確認する
「ペット同行避難可能」と案内されていても、犬を飼育できる場所や必要な用品などの条件は避難所によって異なる場合があります。
また、災害の規模によって避難所の開設状況が変わる可能性もあります。自宅から最も近い避難所だけでなく、複数の避難先を確認しておきましょう。
首輪・迷子札・鑑札・マイクロチップを組み合わせる
犬の身元確認は、一つの方法だけに頼らないことがポイントです。
首輪に迷子札や鑑札を付けておけば、保護した人が飼い主を確認しやすくなります。一方、災害時には首輪自体が外れる可能性があります。その場合に備えてマイクロチップも活用し、登録情報が現在の電話番号や住所になっているか確認しておきましょう。
犬と飼い主が一緒に写った写真を防災バッグへ入れる
スマートフォンに犬の写真を保存するだけでなく、紙の写真も防災バッグへ入れておくと役立ちます。
犬だけの全身写真に加え、毛色や模様など特徴が分かる写真、犬と飼い主が一緒に写った写真を用意しましょう。スマートフォンを充電できない状況でも、捜索や飼い主確認に利用できます。
真夏の避難では犬の熱中症や車内温度にも注意する
夏の災害では、地震への備えと同時に暑さへの対策が欠かせません。
特に犬と車中泊する場合、停車した車内は短時間で危険な高温になることがあります。「避難所へ犬を連れて入りにくいから」という理由だけで車内へ残すのは危険です。
飲料水や暑さ対策用品を準備するとともに、冷房を安全に使用できない状況まで想定し、犬と避難できる別の場所をあらかじめ検討しておきましょう。
犬に最低限必要な防災グッズ一覧

犬用防災バッグには、普段使っている物を中心に「食事・健康・移動・衛生」の4つを意識して入れましょう。災害時に初めて使う用品ばかりそろえるのではなく、愛犬が慣れている物を備蓄することも重要です。
フード・飲料水・おやつ・折りたたみ食器
食べ慣れたペットフードと飲料水は、犬の防災グッズの基本です。食欲が落ちたときに食べられるお気に入りのおやつも少量用意しておくとよいでしょう。
食器は軽量な折りたたみタイプなら持ち運びやすくなります。フードは賞味期限が切れる前に普段の食事として消費し、新しい物を補充します。
療法食・常備薬・お薬情報・ワクチン記録
持病のある犬では、療法食や常備薬の確保を優先します。
さらに、薬の名前や投薬量、既往歴、ワクチン接種状況、かかりつけ動物病院の連絡先などを紙にも記録しましょう。スマートフォンが使えなくなっても、避難先で犬の健康状態を説明できます。
首輪・ハーネス・予備リード・迷子札
避難時の逸走防止には、愛犬の体に合った首輪やハーネス、リードが必要です。普段使用している物が破損した場合に備えて、予備も防災バッグへ入れておきましょう。
迷子札には飼い主へ連絡できる情報を記載します。鑑札やマイクロチップなども含め、複数の方法で身元を確認できる状態が理想です。
キャリー・クレート・タオル・ブランケット
小型犬ならキャリー、大きさに応じてクレートなど、犬を安全に待機させられる用品を準備します。
タオルは体を拭く、敷物にするなど用途が広く、飼い主のにおいが付いたブランケットは慣れない環境で犬を落ち着かせる助けになる場合があります。
ペットシーツ・排泄袋・ウェットティッシュなど衛生用品
避難生活では、犬の排泄物を適切に処理することが共同生活のマナーとして重要です。
ペットシーツ、排泄袋、ウェットティッシュなどをまとめて準備しましょう。断水すると普段のように掃除できないため、水を大量に使わなくても衛生を保てる用品が役立ちます。
犬が逃げ出す・隠れることを想定した防災対策

地震発生時に犬がどのような行動をするかを完全に予測することはできません。だからこそ、「愛犬は逃げない」と考えるのではなく、パニックになって逸走したり隠れたりする前提で住環境を整えておきましょう。
玄関や窓からの逸走を防げる環境を作る
地震によって物がぶつかり、扉や窓が開く可能性があります。また、避難のため玄関を開けた瞬間に犬が飛び出すことも考えられます。
玄関付近に犬用ゲートを設けるなど、屋外までの間にもう一つ境界を作っておけば逸走リスクを減らせます。避難時にはリードを装着してから扉を開ける習慣も家族で共有しましょう。
首輪やハーネスが抜けないサイズか定期的に確認する
首輪やハーネスが緩すぎると、犬が後ずさりした際などに抜ける可能性があります。
特に子犬は成長し、高齢犬では体重が変化することもあるため、一度調整して終わりではありません。普段からフィット感や留め具の劣化を確認し、避難時にも安全に使える状態を維持しましょう。
地震で犬が隠れたときに探しやすい住環境を整える
犬が恐怖を感じた際に家具の奥へ入り込むと、地震後すぐに居場所を確認できない場合があります。
普段の隠れ場所を把握するとともに、家具の転倒によって犬が閉じ込められないか確認しましょう。危険な隙間へ入り込めないよう整理することも、犬の防災対策になります。
クレートを普段から安心して入れる場所にしておく
災害が起きた日に突然クレートへ入れようとしても、犬が嫌がれば避難が遅れる可能性があります。
普段から扉を開けたクレートを生活空間に置き、休息できる場所として慣らしておきましょう。「閉じ込められる場所」ではなく「安心して休める場所」と認識していれば、避難所での生活にも役立ちます。
呼び戻しや「待て」など基本的なしつけを続ける
災害時には、リードを装着するまで犬を待たせたり、離れた犬を呼び戻したりする必要が生じる可能性があります。
普段から「おいで」「待て」などを練習しておくことは、日常生活だけでなく防災にもつながります。ただし、どれほどしつけられた犬でも、強い恐怖の中で普段通り行動できる保証はありません。しつけだけに頼らず、リードやゲートなど物理的な逸走防止策と組み合わせることが大切です。
犬と一緒に避難するために平時から決めておきたいこと

防災グッズをそろえても、避難先や移動方法が決まっていなければ、発災直後に判断が遅れる可能性があります。犬と暮らす家庭では「どこへ・どうやって避難するか」を具体的に決めておきましょう。
近隣の避難所が犬の同行避難に対応しているか確認する
自治体のWebサイトや防災担当窓口などで、近隣の指定避難所におけるペットの受け入れ方針を確認します。
確認したいのは同行避難の可否だけではありません。犬の飼育場所やケージの必要性など、具体的な条件まで把握しておくと実際の避難を想定しやすくなります。
避難所へ入れない場合の第二・第三の避難先を決める
災害によって予定していた避難所が利用できなくなることも考えられます。第一候補だけでなく、犬と避難できる第二・第三候補まで考えておきましょう。
ただし、自宅が損壊している場合の在宅避難など、安全性を確認できない場所へとどまるのは危険です。愛犬と一緒にいられるかだけではなく、人と犬の双方が安全に過ごせることを優先します。
親族・知人・動物病院など一時預かり先を候補にする
飼い主が負傷・入院した場合には、自分で犬を世話できなくなる可能性があります。
親族や知人に災害時の預かりが可能か事前に相談するほか、かかりつけの動物病院などについても災害時の対応を確認しておきます。遠方を含め複数の候補があると選択肢を確保しやすくなります。
犬を連れて実際の避難経路を歩いて確認する
地図を見るだけでは、犬との避難で問題になる場所を把握できないことがあります。
普段の散歩を兼ねて避難所まで歩き、狭い道、ブロック塀、急な坂などを確認しましょう。大型犬や高齢犬では「歩けなくなった場合にどう移動させるか」まで考えることが重要です。
災害時の連絡先・犬の情報を家族で共有する
犬の名前、年齢、特徴、持病、薬、マイクロチップ情報、かかりつけ動物病院などを一覧にします。
さらに「誰が犬を連れ出すか」「家族が別々の場所で被災したらどこで合流するか」まで決めておけば、緊急時の判断を減らせます。
犬用防災リュックを作るときのポイント

犬用防災リュックは、用品を詰め込むことより、必要なときに持ち出せる状態にすることが重要です。重量や保管場所、消費期限まで含めて管理しましょう。
最低5日分を意識し可能なら7日分以上の備蓄も考える
フードや飲料水などは、まず5日分を一つの目安として確保し、保管場所に余裕があれば7日分以上の備蓄も検討します。
特に療法食など代替品を入手しにくい犬では、物流が止まる可能性も考えて余裕を持たせましょう。
重い水やフードは持ち出し用と自宅用へ分散する
すべての備蓄を一つのバッグへ入れると重くなり、人間用の防災用品まで運べなくなる可能性があります。
避難直後に必要な量だけを持ち出し用とし、残りは自宅用に分けます。保管場所も一か所へ集中させず、安全に取り出せる場所へ分散するとよいでしょう。
防災グッズを普段から使って犬を慣らしておく
折りたたみ食器やクレートなどは、災害時に初めて使用するより日常生活へ取り入れておく方が犬も受け入れやすくなります。
防災用品を「しまっておく非常用品」だけにせず、旅行や外出などでも使っておけば、破損や使いにくさにも事前に気付けます。
半年に一度を目安にフード・薬・用品を見直す
防災リュックは一度作って終わりではありません。
半年に一度程度を目安に、フードの賞味期限、薬の使用期限、電池、首輪やハーネスのサイズなどを確認します。犬の年齢や健康状態が変われば、必要な防災グッズも更新しましょう。
犬の防災グッズをそろえる費用の目安

犬の防災用品は、普段使っている物を活用するか、新しく一式購入するかによって費用が変わります。すべて高価な専用品で統一する必要はなく、愛犬に必要な物から優先してそろえることが大切です。
最低限の犬用防災用品を個別にそろえる場合の予算
新しく用意する場合、折りたたみ食器500~1,500円程度、予備リード1,000~3,000円程度、迷子札500~2,000円程度、衛生用品1,000~2,000円程度などを一つの目安として考えられます。
フードや水を含め、すでに持っている用品を活用すれば、5,000~10,000円程度から最低限の備えを作ることも可能です。
市販の犬用防災セットを購入する場合の価格帯
犬用の防災セットは内容によって価格差がありますが、5,000~15,000円程度を一つの購入予算として考えられます。
ただし、セットだけでは愛犬が普段食べているフードや薬が入っていない場合があります。「セットを買えば完成」ではなく、不足品を追加する前提で確認しましょう。
療法食・薬・クレートを追加するときの費用
クレートやキャリーを新しく購入するなら、小型犬向けで3,000~10,000円程度、大型・頑丈なタイプでは10,000円を超える製品もあります。
療法食や処方薬は犬の状態によって金額が大きく異なるため、普段必要な費用に「数日~1週間程度の予備を確保する費用」を加えて考えると現実的です。薬については自己判断で余分に購入せず、必要な備蓄量をかかりつけの獣医師へ相談してください。
日常用品をローリングストックして費用を抑える
防災専用として大量のフードを買うと、賞味期限切れによる廃棄につながることがあります。
例えば普段1袋ずつ購入しているなら、常に未開封の予備を1~2袋確保し、古い物から使って買い足します。ペットシーツや排泄袋も同じ方法で管理すれば、一度に大きな出費をせず備蓄量を増やせます。
犬の防災と一緒に住環境も見直そう

犬用防災グッズをそろえるだけでなく、地震が起きた直後に犬と安全に避難できる住環境を作ることも防災対策です。物が多い家では、転倒した家具や散乱した不用品が避難の妨げになる可能性があります。
玄関・廊下から不用品を減らして避難経路を確保する
玄関や廊下に段ボール、使わない家具などが置かれていると、地震で倒れたり散乱したりして通路を塞ぐ可能性があります。
犬をキャリーに入れたりリードで誘導したりしながら避難するには、普段以上の通路幅が必要です。まずは玄関から屋外まで、物につまずかず移動できる状態を目指しましょう。
倒れやすい家具の周辺から犬の居場所を離す
犬が普段寝ている場所の近くに背の高い家具がある場合は、地震で転倒したときの危険を確認します。
家具の固定とともに、テレビや収納物などが落下する場所を犬の定位置にしないことも大切です。犬が安心して休める場所そのものを安全にすることが、日常からできる防災になります。
クレート・フード・水をすぐ取り出せる場所へ置く
クレートや犬用防災リュックを押し入れの奥に収納すると、家具が倒れた際に取り出せなくなるおそれがあります。
玄関付近など避難時に手に取りやすく、地震による落下物の危険が少ない場所を選びましょう。備蓄を複数箇所へ分けておけば、一つの収納場所が使えなくなった場合にも対応しやすくなります。
使わなくなったペット用品を整理して備蓄スペースを作る
サイズが合わなくなった服、古いベッド、壊れたキャリーなどを保管し続けていると、本当に必要な防災用品を置くスペースが不足します。
「いつか使うかもしれない物」と「災害時に確実に必要な物」を分け、不用品を整理しましょう。空いた場所をフード、水、ペットシーツなどの備蓄スペースにすれば、片付けそのものを愛犬の防災につなげられます。
犬の防災グッズに関するよくある質問

最後に、犬の防災グッズや避難について、飼い主が迷いやすいポイントを確認します。
犬のフードと水は何日分備蓄すればよいですか?
まずは最低5日分を意識し、保管できる場合は7日分以上も検討しましょう。
特に療法食や特定のフードしか食べられない犬では、災害後すぐに同じ商品を購入できない可能性があります。ローリングストックを利用すれば、賞味期限を管理しながら備蓄できます。
犬を連れて避難所へ行けば必ず受け入れてもらえますか?
必ず受け入れてもらえるとは限りません。また、同行避難が可能でも、犬と飼い主が同じ居住スペースで過ごせるとは限らない点にも注意が必要です。
自治体の防災情報を確認し、ペットの受け入れ方針や飼育場所を調べたうえで、別の避難先も考えておきましょう。
地震で犬が逃げた場合はどう探せばよいですか?
まず自分の安全を確保したうえで、自治体、保健所や動物愛護関係機関、警察など地域の窓口へ連絡し、災害時に設けられている保護情報も確認します。
犬の全身写真、特徴、首輪、マイクロチップ番号などの情報をすぐ提示できるよう準備しておくことが重要です。危険区域へ自分だけで捜索に入ることは避けましょう。
犬が怖がって家の中から出てこない場合はどうすればよいですか?
まず飼い主自身の安全を確認してください。建物に倒壊や火災などの危険がある場合は、犬を探すために危険な場所へ戻るべきではありません。
安全が確認できる状況なら、普段から犬が隠れる場所を確認し、落ち着いた声で呼ぶなど刺激を増やさない対応を考えます。平時からクレートを安心できる場所として慣らしておくことも重要です。
犬の防災グッズはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
半年に一度程度を一つの目安として確認しましょう。
フードや薬の期限だけでなく、犬の体格に首輪やハーネスが合っているか、連絡先やマイクロチップの登録情報が最新かまで確認します。誕生日や防災の日などを点検日に決めておくと忘れにくくなります。
まとめ│震災の教訓を生かして愛犬を守る防災対策を始めよう

犬の防災では、フードや水を買って終わりではありません。東日本大震災では飼い主と離れたり取り残されたりした犬が多数発生し、令和6年能登半島地震や令和8年熊本地震でも、同行避難、避難所での受け入れ、迷い犬、一時預かりなど、犬と避難するためのさまざまな課題が改めて浮かび上がりました。
災害が起きる日時や、そのとき愛犬がどのような行動をするかは予測できません。だからこそ、首輪やリード、クレート、迷子札、マイクロチップ、フード、飲料水、薬などを備えるだけでなく、逸走や取り残しまで想定することが大切です。
愛犬を守る防災は、特別なことを一度に完成させる必要はありません。防災リュックを作る、避難所を確認する、避難経路を歩くなど、今日できることから一つずつ始めましょう。
犬の防災グッズの買い物代行なら片付け110番へご相談ください

「犬の防災グッズをそろえたいけれど、必要な物を買いに行くのが難しい」「高齢や体調などの事情で、防災用品をまとめて準備できない」という場合は、片付け110番へご相談ください。
片付け110番では買い物代行サービスにも対応しており、犬のフードや飲料水、ペットシーツなど、防災に備えて準備しておきたい物の購入について相談できます。
また、防災用品を置きたいのに自宅に物が多く収納場所を確保できない場合は、不用品の片付けについても相談可能です。
災害が起きてから犬の防災用品をそろえることは難しくなります。愛犬と安全に避難するためにも、必要な用品の準備と住環境の整理を平時から進めておきましょう。犬の防災グッズの準備や買い物でお困りの場合は、片付け110番へお気軽にご相談ください。


