不要になったギターの処分方法にお困りではありませんか?
経済産業省のデータ(経済産業省 生産動態統計 繊維・生活用品)によれば、2022年6月におけるギター・電気ギターの国内生産数量は8,062本(前年同月比6.8%増)で、直近1年間でも同じく6.8%増と、ここ2年以上にわたって増加傾向であり、6月の生産数量を単純に1年間に当てはめると10万本近くとなります。(抜粋:経済産業省 生産動態統計)
ギターの愛好家が多い国内で、いままさに古くなったり壊れたりしたギターの処分を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ギターは部位や付属品ごとに一般ごみ、不燃ごみ、金属ごみなどの細かな分類があり、処分する際には色々と理解しておくべき分別方法や、処分先、処分方法、費用などがあります。
ギターを処分するには、そのままごみとして出す場合は粗大ごみ、部位ごとに分解する場合には普通ごみ、不燃ごみ、金属ごみなど、様々に分類されます。なお、ギターの付属品であるアンプやコードなどは「小型家電リサイクル法」が適用されるので、注意が必要です。
実際にギターを処分する際には、処分方法がすぐにはわからない人や、分別して捨てたいなら解体方法に戸惑う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ギターを処分する際に各部位がどのような種類のごみとなるのか、処分方法や費用、解体しないでもそのまま処分できる方法や、おすすめの回収業者へ出す方法とポイントなどについて詳しく解説します。最後まで読んでいただければ、ご自身に合ったギターの処分方法が選択できると思います。ぜひ活用してみて下さい。
1 ギターの種類で処分方法は違う?エレキとアコギ、周辺品
ギターは大別するとエレキギターとアコースティックギターに分類され、付属品であるハードケースやソフトケース、ギタースタンドやアンプ、ケーブルなど、様々な種類があります。それぞれどのようなごみになるのでしょうか?
1-1 エレキギターは何ゴミ?
エレキギターを解体せずにそのまま自治体で処分すると、粗大ごみとなります。
エレキギターを細かく分解して小さくすれば、部位ごとに不燃ごみか金属ごみとして自治体で回収してくれる場合もありますが、エレキギターの分解を家庭で行うこと自体が難しく、現実的ではありません。そのため、そのまま粗大ごみとして出すのが一般的です。
1-2 アコースティックギターは何ゴミ?
アコースティックギターもエレキギター同様、そのまま処分するには粗大ごみとなります。
もし分解する場合は、多くの部分が木製であるアコースティックギターでも、部分的にプラスチックや金属が使われているので、分別して不燃ごみか金属ごみとして処分する必要があります。
1-3 ハードケースは何ゴミ?
ハードケースは、ギター本体よりも大きいので、当然ながら30cm以上となり、自治体に粗大ごみとして出すことになります。ハードケースの素材は、木製の土台部分にツイードやトーレックスを張り合わせたものと、車の内装などにも使われている樹脂で形作られた樹脂製の2種類が主流です。
1-4 ソフトケースは何ゴミ?
ソフトケースは、畳んで30cm以下であれば不燃ごみ、あるいは燃やせる場合は普通ごみとして、自治体に出せる場合が多いですが、畳めない場合は粗大ごみとなります。ソフトケースの素材はほとんどが袋状の布で、緩衝材的なものは入っていてもごくわずかです。
1-5 ギタースタンドは何ゴミ?
ギタースタンドは分解して不燃ごみに出すか、そのまま粗大ごみとして処分します。ギタースタンドの材質のほとんどは、スチールか木に分類できます。なお、ギタースタンドは概ね下記の4種類があり、ギター本体を包み込むサイズとなります。
- 立てかけタイプ
- 吊り下げタイプ
- 複数台立てかけタイプ
- 壁取り付け/網掛けタイプ
1-6 アンプは何ゴミ?
アンプは小型家電リサイクル法が適用されるため、役所や公共施設に設置されている「小型家電ボックス」へ持ち込むと、無料で処分できる場合もあります。ただし大きさに制限があるため、事前に各自治体へ確認する必要があります。
大きさについては、自治体にもよりますが、東京都千代田区の場合は「30cm×15cm以下」となります。それ以上の大きさであれば、ギターアンプはそのまま粗大ゴミで出します。(参考:千代田区)
1-7 ケーブルは何ゴミ?
ケーブルはアンプと同様、小型家電リサイクル法の対象となります。延長コードやケーブルには資源の再利用可能な素材が含まれているため、小型家電回収ボックスで処分が可能です。(参考:目黒区)
2 ギターの処分方法
2-1 自治体で処分
自治体で処分する場合は「粗大ごみとして処分」する方法と「解体して不燃ごみ・一般ごみとして処分」する方法とがあります。
2-1-1 粗大ごみとして処分
杉並区の場合、家庭から出る家具・家庭用品などのうち、最大辺がおおむね30cmを超えるもので、220cm以内のものが粗大ごみとなり、それ以下の場合は不燃ゴミ、あるいは回収ボックスでの処分となります。(参考:杉並区)粗大ゴミとして出す場合には、収集に来てもらう方法と収集施設に持ち込む方法の2つがあります。
収集に来てもらう | ・自治体での粗大ごみの出し方は地域によって違いがありますが、多くの場合は、まず粗大ごみ処理券をコンビニなどで購入します。 ・その後、粗大ごみ回収の受付窓口に連絡し、回収を依頼します。 ・収集日は自治体によって様々ですが、多い場合で週に1日、少ないと月に1日程度です。 ・収集日が確定したら、収集場所に処理券を貼付した扇風機を運んで置いておけば回収されます。 |
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収集施設に持ち込む | ・粗大ごみの処理をしているクリーンセンターなどにギターを持ち込みます。 ・持ち込みの場合は特に予約の必要なく、受付窓口が開いている時間帯に運べば受け付けられます。 ・受付で書類に記入し、重量を測って料金を支払います。 ・持ち込みの場合、ギターはそれほど重量はありませんが、嵩(かさ)張るため、しっかりとした準備が必要です。 |
筆者は今回、地元の自治体(杉並区)に、ギターを粗大ごみとして処分する手続きについて実際に問い合わせて確認しました。
まずは区役所の環境部・杉並清掃事務所作業係に電話しました。ギターを処分したいと伝えたところ、杉並区では30センチを超える場合基本的に粗大ごみとして扱うとのことで、詳細は委託先である「粗大ごみ受付センター(委託業者:公益財団法人東京都環境公社)」に連絡するように言われました。
次に、粗大ごみ受付センターに問い合わせたところ、現在粗大ごみを出す家庭が非常に多く、引き取り予約は1か月以上も先になるとのことでした。引き取り費用は400円で、近くのコンビニで200円券(シール)を2枚購入し、引き取り希望日時と番号を記入して、ギターを自分で梱包し、そのシールを貼り付けて玄関先に置いておけば回収に来てくれるとのことです。
持ち込みの場合は、杉並区民に限って、日曜日だけ自家用車などを利用して指定の場所へ直接持ち込みが可能とのことで、手数料は回収と同じく、1点につき一律400円とのことでした。
実際に問い合わせてみて、400円という安価な金額で自宅の庭に出すことで、搬入などの手間も省け、コスパもよく簡単に処分できるのがメリットと感じました。一方、デメリットとしては、 1か月も先にならないと処分できないので、非常に時間がかかることから、時間がなかったり、急いで処分する必要があったりする場合には不向きだと感じました。
2-1-2 解体して不燃ごみ・一般ごみとして処分
ギターを細かく解体し、不燃ゴミあるいは一般ごみとして出す場合は、指定されたごみの日に回収場所に持って行くだけで、廃棄日を予約する手間や処分費用も不要なので、気軽に捨てられるのがメリットです。(参考:川崎市)
なお、自治体によっては粗大ゴミを解体しても粗大ゴミ扱いとなる場合があるので、注意が必要です。(参考:新宿区)
まず最初に、エレキギターの弦を外します。次に、ギターの全てのネジを片っ端から外します。そうすると、ほとんどのパーツはギター本体から外れます。ナットは角材を当てて一気に叩いて外し、配線は後々元に戻しやすいところでハンダを溶かして外します。エレキギターは本体がアクリル、アルミニウム、グラファイト、硬質繊維板メゾナイトなど、様々な素材から構成されているので、エレキギター本体の大部分が不燃ごみとなります。また、本体内部にも様々な機械があるため、現実的には解体するのは非常に困難だということをよく理解しておくべきでしょう。
エレキギター同様、まずは弦を外します。弦を張る時とは逆の作業をします。締める部分を徐々に緩(ゆる)めていくと弦が外れます。ペンチで弦を切ることもできますが、ピンとはっている状態だと弦が弾(はじ)き、ケガをする危険もあるので、慎重に行ってください。本体の木製部分は直径30cm以下に切り、一般の可燃ごみとして処分します。弦や留め具の部分は金属のため、不燃ごみあるいは金属ごみとして処分します。
2-1-3 そのほかの処分
ギターアンプとケーブルは小型家電リサイクル法の対象となります。対象部位は、各自治体が公共施設に設置した回収ボックスに投入することで処分してもらえます。回収ボックスは投入口のサイズが限られているため、サイズを確認する必要があります。例えば大阪市の場合、回収ボックスの投入口は15cm×30cmです。
ギターアンプの平均的なサイズは「21cmx35cm」程度となっていますので、回収ボックスの利用は難しい方が多いかもしれません。(参考:大阪市(小型家電リサイクル回収ボックス関連))
なお、回収ボックスで回収できない場合、宅配便で回収している自治体もあります。(参考:東京都中央区)またその他に、指定する場所へ持ち込んで処分する方法があります。(参考:東京都中央区)
2-2 リサイクルショップで売却
不要となったギターをリサイクルショップで売却する方法です。
リサイクルショップで売却すれば、ギターの状態(問題なく弾けるかどうか)や有名ブランドメーカー製かどうかにもよりますが、思わぬ臨時収入を、フリマやネットオークションと異なり、すぐに得られる可能性もあります。
売却するには、ギターを整備された綺麗な状態で、また問題なく演奏・使用できることを確認した上で搬入する必要があります。持ち込んだ際に状態が悪いと判断された場合は、売却できないどころか、引き取りすら出来ない場合もあるため、リスクを回避する意味でも、事前にショップにギターの状態を伝え、持ち込み可能か確認することが重要です。
ギターの場合、有名ブランドメーカー、例えばMartin(マーティン)、Gibson(ギブソン)、YAMAHA(ヤマハ)などの製品は扱いやすいとのことですが、例えばフェンダーの10年経過製品でも、個別のギターの状態や、市場での販売状況、需要の有無などを総合的に判断して取り扱うとのことでした。
リサイクルショップにギターを売り出す際のメリットとしては、有名ブランド品であればまず問題なく買取り可能な場合が多く、出張買取りが基本なので、負担が少ないことが挙げられます、
一方、デメリットとしては、リサイクルショップはギター買取専門店ではないため、ギターに関する詳しい知識が専門店と比べるとどの程度あるのか定かではないことが挙げられます。
2-3 ギター買取専門店で売却
大事にしていたギターを粗大ごみなどとして捨てることはしのびない、まだ新しく十分使えるといった場合には、ギター買取専門店で売却すると効果的です。
楽器としての機能は問題なく、目立ったキズや破損などがない場合や、ギブソンやフェンダー、PRSといった有名ブランドで、定価が高いギターであれば、壊れていても査定価格がつく可能性が高いです。処理手数料や収集運搬費などをかけずに処分ができ、さらに買取金額が手に入るというメリットがあります。
また、音が出なかったり、ネックが割れていたりの状態でも、無料で引き取っている業者もありますので、ギター買取専門店を利用するのはおすすめです。
前提として、「10年前にヤマハ楽器で15万円で新品で購入した、有名ブランドのフェンダー(ジャパンとUSがありますが、ジャパンの場合)を売りたい」「丁寧に扱って状態は良く、問題なく演奏できる」との想定で問い合わせました。
この場合は、別途訪問査定で個別に状態などを最終検証することが条件ですが、概算で3万円~7万円程度、更に状態が良ければそれ以上でも買取可能とのことでした。
なお、フェンダーは人気ブランドですが、市場に出回っている数も多いので買取査定金額にも反映されるとのことでした。
取材してみて、さすがに楽器専門店だけあって、すぐにブランド名や産地、使用年月や状態について専門的な見地からアドバイスがあり、買取価格の目安なども(詳細は現物を確認した後との前提ながら)即答されたので、非常に参考となりました。
楽器の価値を理解してもらえるので、リサイクルショップと異なり、より楽器の価値にあわせた査定をしてもらえる点でメリットが大きいように感じられました。
2-4 フリーマーケットやネットオークションで売却
フリーマーケット(フリマ)やネットオークションでギターを売却する場合、出品するまでの手間はかかりますが、リサイクル料金や処分手数料をかけずに処分できます。
買い手がつくまでに時間がかかる場合があるということにも留意が必要で、また買い手が決まってからは配送にも注意を払う必要があります。ギターは楽器なので、梱包や運搬に注意することが大切です。配送の際には、一般の荷物扱いとして一般の宅配業者に依頼するとトラブルに発展する場合もあるため、楽器の配送してくれる宅配業者を手配するのがおすすめです。
実際の取引例(メルカリ)を、エレキギターとアコースティックギターそれぞれ挙げておきます。
エレキギター | メーカー名:PIGNOSE 型番:PGG200 状態:2013年購入、動作問題なし、傷ほとんどない美品 売却の経緯:使用しなくなったため 売却までの期間:3日 落札価格:14,000円(値引き交渉あり) その他:ソフトケース付 |
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アコースティックギター | メーカー名:Morris 型番:W-30 状態:10年以上使用、弦に錆あり、破損箇所あり 売却の経緯:古くなって処分したいと思ったため 売却までの期間:3週間 落札価格:10,000円 その他:返品不可が条件 |
2-5 回収業者に依頼
回収業者は、ほぼ間違いなく不要なギターを回収してくれますし、製品が傷んでいて状態が悪くても引き取ります。引き取りの際も自分で出かける必要はなく、自宅に取りにきてくれます。
また、回収業者は、ギターを処分したい時に即日対応や、夜間対応などにも対応している場合が多く、急な引越しなど、早期に処分したい時や、日中に処分できない場合などにも便利です。さらに、電話やインターネットで申し込むことができ、自治体の粗大ごみに出すよりは手続きが簡単です。
自分の都合のよい日時にギターを出したり持ち込んだりすることができますが、事前によく確認しておかないと、思ったより高い料金がかかることもあるので、注意が必要です。
3 ギターの処分費用相場
自治体粗大ゴミ | 400円程度 |
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回収業者 | 6000円程度 |
※公開された5の自治体、5社の回収業者から平均を算出(独自調べ)
4 自力?回収業者?それぞれのメリット・デメリット
ギターを自力で処分する場合と、回収業者に依頼する場合それぞれのメリット・デメリットを比較して解説します。
4-1 自力で処分するメリット・デメリット
メリット | ・粗大ごみとして出す場合、そのまま出せば簡単に安く処分可能 ・部位ごとに分解して出せば無料で処分できる ・フリマやオークション・専門店に出して売れれば利益になる |
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デメリット | ・解体してゴミに出す場合は手間ヒマが膨(ぼう)大にかかる ・自治体や専門店に持ち込む場合は時間と労力が必要 ・フリマやオークション・専門店で扱えない(売れない)リスクあり |
4-2 回収業者に依頼するメリット・デメリット
メリット | ・壊れたギターでも処分が可能 ・申し込み方法や手順が比較的簡単 ・あまり待たず(最短即日対応)自分の都合に合わせて処分可能 ・ギター以外のごみがあるときは一緒に処分の依頼が可能 ・業者によっては買取対応がある |
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デメリット | ・他の処分方法と比べてコストがかかる ・中には悪質な回収業者もいる |
5 回収業者の選び方
下記のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 回収後、事前の見積もりよりも高い金額を請求された
- 他の不用品を強引に引き取り、勝手に費用を請求された
- 処分されたはずの品が不法投棄されていた
このようなトラブルに巻きこまれないためにも、きちんとした業者に依頼することが大切です。
回収業者を探す場合には、取扱い実績や信頼性、評判などを事前にチェックして選定することが重要です。
また、せっかく依頼したのに、搬出の際に業者が家の床や壁に傷や汚れをつけてしまった場合、賠償責任保険加入済の業者なら、責任をもって傷や汚れをつけた部分の修理費用を負担してもらえます。一方、未加入の業者の場合、トラブルに発展したり泣き寝入りせざるを得なくなったりする可能性があります。こうした観点から、賠償責任保険にしっかり加入していることがポイントです。
6 まとめ
不要となったギターの処分方法について、処分方法や費用相場、また回収業者のメリット・デメリットや、選び方を中心に解説しました。この記事を参考としていただき、スムーズに満足して処理できるよう祈っています。
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