位牌は故人を弔い、その魂を身近に感じるために重要な存在です。しかし、さまざまな事情から位牌を処分しなければならない場面が訪れることもあります。
本記事では、位牌の処分方法やタイミング、費用相場、さらに宗派別の留意点などを総合的にご紹介します。どのように手続きを進めていいのか悩む方や、宗派ごとの違いに戸惑う方も少なくないでしょう。
ここでは処分にまつわる疑問や心配を解消し、正しい手続きで故人を敬う方法をまとめました。ぜひ参考にしていただき、後々慌てることなく落ち着いて対応できるように準備を進めてください。
位牌を処分する前に:まず知っておきたい基礎知識

位牌の意味や種類など、処分を考える前に押さえておくと役立つ基礎知識を確認しておきましょう。
位牌は故人の戒名や法名などを記し、その魂をこの世にとどめ供養するための大切なものです。かつては白木位牌が仮の位牌として用いられ、四十九日法要後には本位牌へ変える習慣が広まりましたが、最近では宗派や地域の慣習によって大きく異なるケースもあります。位牌をどう扱えばよいのかは、まず自分や家族の宗派・慣習に沿って確認することが大切です。
位牌の処分が必要になるのは、後々の自宅整理や遺品整理、または新たな生活環境の変化によって仏壇を管理できなくなるときなどが多いといわれます。必要に応じて、なるべく早めに必要書類や菩提寺との相談などをすませておくとスムーズです。
位牌の意味と役割
位牌とは、故人の霊を祀るために寺院や自宅の仏壇などに安置される木札のことです。古くは、中国の祖先祭祀の文化が日本に伝来し、その後仏教の教えと融合する形で位牌の形が整ってきました。
位牌には故人の法名や戒名、あるいは没年や命日などが記され、そこに故人の魂がとどまっていると考えられます。そのため、日々の供養や年忌法要の際にも大切に扱うことが求められ、処分するときにも宗教的な手続きが必要です。
宗派による位牌の違い
日本には多くの仏教宗派が存在し、特に浄土真宗では故人の魂は阿弥陀如来のもとへ戻るという考えから「位牌を作らない」ことが一般的とされています。一方、浄土宗や曹洞宗、日蓮宗などでは一般的に位牌を作り、遺骨や遺影とのセットで大切に祀ります。
このように宗派ごとに位牌の有無や取り扱いが異なるため、処分を検討する際はまず自身の宗派のしきたりを確かめておくと失礼が起きにくいでしょう。また菩提寺がある場合は、事前に住職に相談し、処分の方法や必要な手続きについて指導を仰ぐことをおすすめします。
位牌を処分するタイミング:よくあるケースとは

位牌を手放さざるを得ない理由には、主に住環境や供養の継続が難しくなる状況などが挙げられます。
位牌の処分を具体的に検討するタイミングは人それぞれですが、一般的には年忌法要がひと段落したときや仏壇の整理をする際などが多いようです。また、継承者がいない場合や引越し・住居のダウンサイジングによって物理的に管理が困難になるケースでも、位牌を処分する選択が検討されます。
そうしたタイミングであっても、十分な供養をせずに処分すると後々トラブルや不安を招くことがあるため、宗派や家族間の意思を確認の上で適切な方法を選ぶ必要があります。
白木位牌から本位牌へ作り変えるとき
葬儀の後にいただく白木位牌はあくまで仮の位牌とされます。四十九日や一周忌などの法要を経て本位牌を作る際に、古くなった白木位牌を処分するのが一般的です。
このタイミングで処分する場合は、菩提寺や僧侶に閉眼供養を行ってもらい、白木位牌をお焚き上げする流れが多く見られます。白木位牌は長く使用するものではないので処分しやすい一方、仮でも故人の魂が宿るとされるため供養を怠らずに行いましょう。
遺品整理や仏壇の整理で必要になるとき
家屋の建て替えや引越しなどで仏壇自体を処分・買い替えする際に、位牌の扱いを再検討することがあります。特に古い位牌が複数ある場合、これを機にまとめて整理したいと考える方もいるでしょう。
ただし、位牌はご遺族にとって大切な思い出の象徴でもあります。誰に処分を依頼するか、また閉眼供養をどのように行うかなど、事前に親族間の話し合いや菩提寺との相談が欠かせません。
弔い上げ・合祀を行うとき
ある程度の年忌が過ぎると、故人の御霊を寺院の合同墓や合祀施設へ納める「弔い上げ」や「合祀」が行われる場合があります。このタイミングで位牌を手放す家庭も多く、合同供養という形でお焚き上げや浄焚を実施することも一般的です。
弔い上げは、一定期間の供養をもって故人を浄土へ送り出す意味合いが強いため、位牌の処分にあたってもしっかりと法要を行い、故人を敬う気持ちを大切にすることが重要です。
後継者がいない場合
お子さんや親族がいらっしゃらない、もしくは遠方に移住してしまうなどの理由で仏壇を引き継ぐ人がいない場合は、位牌をどのように扱うか困るケースがあります。このようなときは、位牌を預かってくれる寺院に相談するのが一般的です。
閉眼供養を済ませた上で、菩提寺や霊園で永代供養をお願いすると安心できるでしょう。後継者不在の場合でも、適切な手段を取って位牌を大切に供養することが、故人とのつながりを大事にするために望ましいです。
位牌の処分方法一覧:お寺・専門業者・自治体など

位牌を処分するには、寺院をはじめ仏壇仏具店や葬儀社、不用品回収業者や自治体への依頼など複数の選択肢があります。
最も一般的な方法は、まず閉眼供養(魂抜き)を行い、その後お寺でお焚き上げを依頼するやり方です。寺院のほかにも、仏壇仏具店や葬儀社では供養と処分をセットで請け負っている場合もあり、宗教的にもしっかりとした対応が期待できます。
不用品回収業者や遺品整理業者では、位牌以外の遺品と併せて処分を依頼できる利点があります。ただし、宗教儀式を省略する形にならないか、オプションで供養式が付帯できるかなどを事前にチェックすると安心です。自治体を利用する場合も、事前の閉眼供養を行うことがほとんど必須となります。
閉眼供養(魂抜き)後にお寺でお焚き上げしてもらう
閉眼供養は、位牌に宿っているとされる故人の魂を抜く儀式で、僧侶に依頼して行います。この儀式を怠ると、宗派によっては「位牌に故人の魂が残ったままの状態で廃棄される」という考え方になり、後味の悪さを感じる人もいるでしょう。
お焚き上げは、閉眼供養を終えた位牌を火によって浄化する方法です。多くの場合、謝礼(お布施)を1万円程度から包むことが多いとされますが、寺院の規模や地域によって変動します。
仏壇仏具店・葬儀社に引き取ってもらう
仏壇仏具店や葬儀社では、位牌や仏具の供養と処分を一括して引き受けてくれることが多くあります。すでに取引のある店舗や業者であれば、宗派や法要の流れを理解している場合が多いため安心感があります。
特に葬儀社では、僧侶の手配からお焚き上げの段取りまで簡潔にお願いできる利点があります。費用については、供養料や運搬費込みで数千円~数万円程度と幅広いので、依頼する前に見積を確認しておきましょう。
永代供養を利用して位牌を預ける
永代供養とは、寺院や霊園に位牌や遺骨を納め、管理や読経などの供養を長期的にお任せする方法です。高齢のご親族のみで後継者がいない場合や、個別での供養が難しい場合に選択されることが多くなっています。
永代供養の費用は初期費用や管理費がかかるケースが多く、3万円~数十万円まで幅があります。お寺の立地や施設の充実度によっても変わるため、希望の予算や供養方法に合った場所を選ぶとよいでしょう。
不用品回収・遺品整理業者に依頼する
他の遺品整理とあわせて位牌を処分したい場合は、不用品回収会社や遺品整理業者への依頼も選択肢になります。供養がオプションとして用意されている業者であれば、位牌を含む仏具を適切に閉眼供養した上で処分してくれます。
ただし、業者によっては宗教儀式に関する知識が浅い場合もあるため、本当に閉眼供養を行ってくれるのか、どのように処分されるのかを確認し、信頼できる業者かどうかを見極めることが大切です。
自治体のごみに出す場合の注意点
自治体の燃えるごみや粗大ごみとして位牌を出す場合、日本の多くの地域では違法ではありませんが、宗教的観点からは閉眼供養を済ませていることが前提となります。費用を抑える選択ではありますが、周囲の理解や故人への思いを尊重することも必要です。
供養をせずに普通の可燃ごみに混ぜて出す行為は、位牌に込められた意味合いを考えると慎むべきとされます。最後まで誠意をもって手続きを進めることが、故人への敬意を保つうえで大切です。
閉眼供養(魂抜き)の意味と流れ

位牌を処分する際には、閉眼供養という特別な法要を行うのが一般的です。その概要を押さえておきましょう。
閉眼供養(魂抜き)は、位牌に宿った故人の気持ちや魂を仏の元へ送り返す儀式と考えられており、僧侶による読経や焼香をもって行われます。これをせずに位牌を処分してしまうと、宗教的には供養不足とされることが多く、気持ちの面でも区切りをつけることが難しくなります。
儀式の流れとしては、まず住職が読経を行い、参列者も焼香して故人に最期の挨拶を捧げることが多いです。その後、位牌に記された戒名や故人情報を読み上げて供養し、魂を抜いてからお焚き上げやお預けなどの処分へ進むという手順が一般的です。
宗派別の注意点:浄土真宗など位牌を用いない場合

浄土真宗系では、そもそも位牌を作る風習がないこともあり、処分の考え方は宗派によって大きく異なります。
浄土真宗では、阿弥陀如来の慈悲によって故人は往生を遂げるとされ、位牌を必要としないと考えられている場合が少なくありません。そのため、位牌を特別に用意しない家庭や、位牌代わりに掛け軸や過去帳で供養を行うこともあります。
もし浄土真宗の菩提寺をもつご家庭で位牌を所持していた場合、住職に相談して処分の仕方を尋ねるのがよいでしょう。宗派独自の考え方から、閉眼供養の要不要や処分の手順について異なる指示を受ける場合もあるため、安易な自己判断は避けることをおすすめします。
位牌処分にかかる費用相場

位牌の処分にあたっては、供養料やお布施、永代供養の初期費用など、思いがけない出費が発生する可能性があります。
処分にかかる費用は、どの方法を選択するかで大きく異なります。お寺に依頼して閉眼供養とお焚き上げをしてもらうと、1万円~5万円くらいの謝礼が目安になることが多いです。一方、永代供養を利用する場合は、契約時に一括で数万円~数十万円程度の費用を支払うこともあります。
とはいえ、あまりに低料金のサービスでは供養が不十分になってしまう可能性を危惧する声もあります。後悔しないためにも、事前に複数の業者やお寺の見積や方針をチェックし、納得のいく方法を選ぶことが大切です。
菩提寺や仏壇仏具店に依頼する場合の費用
菩提寺に閉眼供養をお願いする際のお布施は、相場がはっきり定まっていないため地域や寺院によって異なります。多くは1万円程度から数万円程度のお礼を包むケースが一般的です。
仏壇仏具店に処分まで一括で依頼する場合も、供養にかかる費用が数千円から数万円程度に収まることがありますが、追加でお焚き上げ料や運搬料がかかる可能性もあるため事前確認が欠かせません。
永代供養・お焚き上げなどの供養費用
永代供養の場合、初期費用として納骨堂やお寺、霊園に数万円~数十万円を一括で支払うと、永年にわたって供養を続けてもらえるプランが多いです。古い位牌を同時に処分してくれるお寺もあるため、手続きが簡略化できるメリットがあります。
お焚き上げだけを単発で請け負ってもらう場合は、規模や数量によって変わりますが、1万円前後からできるお寺もあれば数万円かかるケースもあります。位牌以外にも遺品をまとめてお焚き上げしているところもあるので、柔軟に検討するとよいでしょう。
不用品回収業者・遺品整理業者に依頼する場合の費用
不用品回収業者や遺品整理業者を利用する場合は、遺品の量や作業日数によって料金が決まることが多く、位牌単体の処分費用が明確に提示されない場合もあります。供養オプションをつけることで、数千円から数万円程度の追加料金が発生するケースがあります。
まとめて処分を依頼できる利便性がある一方で、きちんと宗教的観点を踏まえた供養がおこなわれるかどうか、信頼性をチェックすることが肝心です。電話やメールで事前に確認しておきましょう。
位牌を処分する前に知っておきたいマナーと事前準備

家族や親族に相談し、必要な手続きや書類をしっかり整えることで、トラブルなくスムーズに位牌処分を進めることが可能です。
まず大切なのは、位牌の処分について近親者や関係する方々にきちんと説明をすることです。なかには「先祖を粗末に扱う」と感じる人がいるため、どういう理由や背景で処分を検討しているのかを誠意をもって話し合うのが礼儀と言えるでしょう。
また、閉眼供養をどこに依頼するか、必要な費用はいくらなのかなど、事前に具体的な情報を整理しておくと家族間でも同意を得やすくなります。菩提寺がある場合は、住職のアドバイスを仰ぎながら進めることをおすすめします。
片付け110番のお位牌回収事例

ここでは、不用品回収・遺品整理業者に位牌処分を依頼した一例として、片付け110番のサポート事例を紹介します。
ケース(1)お位牌1つ、8,800円


回収場所 | 京都府京都市 |
回収内容 | お位牌の回収 |
実際の作業料金 | 8,800円 |
まとめ

位牌の処分は、故人や先祖への敬意を守りつつ、現実的な事情も考え合わせながら進めることが大切です。
位牌の処分方法はさまざまで、タイミングとしては一定の年忌法要や住替え、後継者不在など、各家庭の事情によって異なります。お寺で閉眼供養を行うほか、仏壇仏具店や葬儀社、不用品回収業者に依頼して処分を進める選択も可能です。
どの方法を選ぶにしても、処分にかかる費用や宗派独自の習慣を事前に理解し、最も納得のいく形でおこなうことが後悔のない対応につながります。故人を大切に思う気持ちを前提に、正しい手続きをふまえながら計画的に進めてみてはいかがでしょうか。
位牌の処分も片付け110番にお任せ下さい

信頼できる専門業者に相談すれば、閉眼供養から回収・処分まで安心して任せられます。
片付け110番のような不用品回収・遺品整理の専門業者は、位牌処分の実績も豊富な場合が多く、オプションで供養をまとめて行ってくれるサービスプランを用意しています。特に遠方に住む方や多忙な方にとっては、一括で依頼できるメリットは大きいでしょう。
自分たちだけで進めるには不安が残るところも、専門スタッフや僧侶との連携によってスムーズにすすめることが可能です。位牌処分の際は、こうした業者にも相談してみると安心感が得られます。
