日本では、太陽光発電所は年々増加をしています。それに伴い、適切な管理方法に悩み方も増えています。
特にソーラーパネルの洗浄で頭を悩まされている方も多いです。
メンテナンスしないと、せっかくの利益も損なわれる一方です。
雨風、雪、花粉、鳥のフン害、砂埃や黄砂、虫の死骸、車の排気汚れなどを放置していると、発電効率が大きく低下してしまうからです。
発電量が低下して売電収入が減少してしまっていることにも気づかない人も中にはいます。
費用をかけて設置したのに、無駄にしてしまうのはもったいないですよね。定期的に洗浄することで、故障劣化を防ぎ発電効率をUPすることができます!
1 ソーラーパネル洗浄のメリット
ソーラーパネル洗浄には大きな3つのメリットがあります。
1-1 発電効率のUP
ソーラーパネルに汚れが付着している状態だと、年間の発電効率が約5%以上も低下してしまう可能性があるといわれています。
利益が損なわれるのは避けたいですよね。洗浄をすることで、発電効率をあげることができ、長期スパンで安定的に稼働させることが可能となります。
1-2 劣化・破損を防ぐ
汚れがあることで、パネルにダメージを与えてしまい、劣化を早めてしまう原因になります。また、汚れが原因でホットスポット現象※が生じ、太陽光パネルの発火や破損を引き起こす危険もあります。故障頻度を低下させるので、故障部品交換におけるランニングコストを削減することも可能です。
※ゴミや汚れが影になるせいで長い間発電できない状態が続くと、セルという半導体の集合部分が発熱してしまう現象で、最悪セルが焼けて太陽光の発電システムに影響をきたします。
1-3 雨や風だけでは落ちない汚れが落とせる
パネルについた汚れは、雨風が洗い流してくれるだろうと思っている人もいますが、実は違います。頑固な汚れは雨では落ちません。洗浄することで汚れを落とすことができます。
- 近所で野焼きをしているところがある…灰が固まって頑固な汚れとなっています。
- 工場が近くにある…排煙により太陽光パネルが撥水しており、雨による洗浄効果が薄れています。
- 山が近くにある…樹脂といった粘着物が付着することでより頑固な汚れになっています。
- 養鶏場などが近くにある…アンモニアの飛沫が付着している可能性があります。
- 海が近い…沿岸から飛来する粘着性の物質により頑固に汚れています。
- 1年以上洗浄していない…経年による蓄積された汚れ・ゴミ(雨風、雪、花粉、鳥のフン害、砂埃や黄砂、虫の死骸、車の排気汚れなど)があります。年1回以上の洗浄をお勧めします。
- 原因不明の発電低下が起きている…太陽光パネルの汚れが原因の可能性が高いです。
2 注意点!やってはいけない洗浄方法
ソーラーパネルの洗浄には、「やってはいけない方法」があります。誤った方法で洗浄することで、パネルを傷つけ交換が必要になってしまうことになりかねません。
2-1 水道水は使ってはいけない
不純物やカルキが原因で、太陽光パネルの表面が白濁してしまいます。また。水垢が取れなくなります。必ずソーラーパネル専用洗剤を希釈してから使うか、工業用の純水を使うようにします。
2-2 専用ではない洗浄剤を使用してはいけない
太陽光パネルの劣化につながります。また、パネル表面のコーティングを剥がしてしまう可能性もあります。
2-3 高圧洗浄で水圧をかけてはいけない
パネルに強い圧力が加わってしまうことで、マイクロクラックといって小さな割れがパネルのセルに生じてしまいます。また、ガラスとセルの間にある封止材(ふうしざい)にも悪影響・ダメージを与えます。
2-4 固いブラシを使用したり研磨に圧をかけすぎてはいけない
強化ガラス表面に傷をつけてしまうだけでなく、コーティングまで劣化させてしまいます。
3 太陽光パネルの掃除方法
太陽光パネルの掃除方法には大きく分けて3つの方法があります。
ソーラーパネルは繊細で、素人が掃除すると太陽光パネルの損傷につながりかねません。また、高所の場合は転落の危険性もあります。傷つけないように慎重に作業すると素人ではあまりに時間がかかりすぎ、リスクも大きいです。メーカーも、ソーラーパネルの所有者の自力洗浄は推奨していません。作業はプロに任せるようにしましょう。
3-1 (1)洗浄機器
高圧洗浄で専用ブラシを回転させて用い、汚れを落としていきます。手作業よりも汚れが落としやすく、作業も早いというメリットがあります。一方、水のタンクを搬入する必要があり、機材コストやセッティングの時間・手間がかかります。
3-2 (2)手作業
ガラス専用のやわらかいマイクロファイバーモップを使って手作業で一枚一枚洗浄し、しっかりスクイジーで水切りを行います。専用の洗剤を用います。住宅用ソーラーパネルや、低圧の産業用ソーラーパネルにむいています。
3-3 (3)洗浄ロボット
ソーラーパネル洗浄専用のロボットがさまざまなメーカーで開発されています。人件費を抑えることが可能です。ただし、まだ「どんな場所も自走して洗浄」するといったことが難しく使用できる条件に制約があり、機材コストも高いというデメリットがあります。
4 最適な洗浄のタイミング
ソーラーパネル洗浄は最適なタイミングがあります。ベストタイミングで依頼することでより効率的にメンテナンスが可能です。
4-1 春先は避けること
春先は、花粉や黄砂などの影響で、洗浄してもすぐにパネルが汚れてしまうため非効率です。
4-2 雨が少なく気温の高い時期がおすすめ
梅雨明けは特におすすめのタイミングです。梅雨の雨がソーラーパネルの汚れをある程度流れ落としてくれたあとに洗浄するので、ある程度掃除できているきれいな状態です。余分な洗浄の手間・時間・費用を抑えられ、負担軽減にもつながります。
4-3 足場があるタイミングを活用
ソーラーパネルの洗浄では、高所作業の場合、足場を組む必要があります。この足場代が高くなります。もし足場を設置するタイミング(屋根塗装の折など)があれば、それと同時に依頼することで、足場代を浮かせることができます。
4-4 何年も洗浄していない場合は早めに
点検でパネルに汚れがあるとわかっているときや、何年も洗浄していないときは早めにプロに依頼をすることが適切です。放置している間にもどんどん発電効率は低下し、収益は減少しているからです。
5 プロに依頼する時に知っておきたい4つのこと
プロに依頼するときに次の4つのことを知っておくと、
- 無用なトラブルを避けられる
- 無駄なお金をかけずに済む
- 必要な洗浄を確実にしてもらえる
- 節税できる
というメリットがありますので押さえておきましょう。
5-1 落ちない汚れがある
鳥の糞を洗浄した場合でも、ガラスが侵食されてしまっており、きれいに跡が除去できないことがあります。発電量に影響は与えないとされています。万が一発電量が低下している場合は、販売店に相談して交換するなどの手段をとる必要があるか確認しましょう。
また、近隣で工事があり、塗料やセメントなどが太陽光パネルに飛んできて付着している場合は洗浄での除去は困難です。工事会社に被害があったことを伝えて対応してもらえるか確認しましょう。
5-2 落とさないでもいい汚れがある
ソーラーパネルの光を受ける部分以外の場所は汚れがあっても発電量の低下に影響を与えません。フレームの側面やパネル設置の台(架台)の部分の汚れは、予算と相談してきれいにするのかそのままにするのか決めるようにしましょう。ただし架台のなかにもサビにくいアルミニウム製のものやサビやすいスチール製のものがあり、サビが設備全体の強度劣化に繋がる恐れもありますので、必要に応じて補修は必要です。
5-3 ソーラーパネル以外にもチェックが必要な箇所がある
以下の部分は定期的にエアダスターで清掃する必要がありますので、業者に確認・対応してもらいましょう。
- パワーコンディショナー(パワコン)内部…金属製の箱型の電気機器。
- 接続箱…太陽光パネルとパワコンの間の接続機器。
- 集電箱…接続箱よりも大きな箱状の機器で接続箱から集めた電力をパワコンに送る機器。
- ファンフィルター…パワコンについている換気用フィルターでホコリなど詰まりやすい。
5-4 メンテナンス費用は経費に計上できる可能性あり
ソーラーパネルのメンテナンスをすることで発電効率をUPさせ売電収入を増やせる上に、メンテナンス費用を経費として計上することで節税することができ、結果的に見て、洗浄費用を安く抑えることができます。
個人事業主の場合は、売電収入を得る場合、その所得は所得税の対象となり、ソーラーパネル設備は固定資産税として申告が必要となります。
給与所得者の場合は、売電収入を得る場合、住民税のほかに、20万円を超える利益が生じている場合に所得税の申告を、10KW以上のソーラーパネルや屋根材一体型の太陽光をの設備を導入している場合は固定資産税の申告を必要とします。
所得税に関しては、「所得=売上から経費を差し引いた額」となりますので、ソーラーパネルの洗浄費(必要経費)を経費で落とすことで、所得を抑えることとなり、節税が可能です。
メンテナンス費用は経費として計上できますので、領収書を必ず受け取り、保管するようにし、節税につなげましょう。
その他にも、「中小企業経営強化税制」など節税につながる各種制度が利用できる場合がありますのでご確認のうえ検討されてもいいかもしれません。
また、設備投資としてメンテナンス費用を経費計上することで、税制優遇や税額控除を受けられる可能性があります。投資した設備に関しては、減価償却費としての計上が可能なので、節税につなげることが可能です。
まとめ
ソーラーパネルを洗浄することには大きなメリットがあり、適切にメンテナンスしないことで、収益の減少につながります。
メーカーも推奨していないので、洗浄は自分で行わずプロに任せましょう。
おすすめの洗浄のタイミングは「梅雨明け」ですが、何年も洗浄していない人は早めに対処することが大切です。
本記事が、ソーラーパネルの洗浄に悩む人の役に立てば幸いです。